2014-06-01から1ヶ月間の記事一覧

記憶についてのあれこれ 15 <海を越えてやってきた野菜>

この時期はゴーヤがたくさん出まわるので、大好きな私にはうれしい季節です。 このゴーヤを初めて食べたのは、1980年代半ば、難民キャンプのスタッフハウスで現地スタッフの人たちと共同自炊していた時でした。 もし私ひとりで暮らして料理をしていたら、あ…

世界はひろいな 14  <香りつきアルコール>

香りつきアルコール。 カクテルのような飲む話でははく、今日も手指消毒用アルコールの話です。 医療従事者とこの消毒用アルコールは切っても切れないほど、日常の必需品です。 まずは、注射の前の皮膚消毒が一番なじみがあるかもしれません。 それ以外に、…

記憶についてのあれこれ 14 <アルコール>

アルコールといっても飲む方の話ではなく、医薬品のアルコールです。 最近では医療機関だけでなく、お店などの入り口でも珍しくなくなった手指消毒用アルコールですが、案外歴史はまだ浅いのではないかと思います。 記憶をたどっていくと、病院内でアルコー…

行間を読む 16 <「もう少し親身になってほしかった」>

先日のこちらの記事で、「最初に相談したときにやはり医師ももう少し親身に対応して欲しかった」と言われたことを書きました。 「最初」というのは産後1ヶ月の頃に、便失禁があることを相談した時のことです。 私はその状況に実際に立ち会っていないのですが…

出産・育児とリアリティショック 12 <医療処置はもうたくさんと思いたくなる時 >

自らのお産の体験から自宅分娩推進運動を始めたというオーストラリアのCarolineさんの第一子出産時の情報を読むと、そのお気持ちは理解できるような気がします。 いえ「自宅分娩に」ではなく、「医療介入が少ない、優しいお産に」という気持ちに対してです。…

記憶についてのあれこれ 13  <雨季と雷雨>

昨日は2時ごろからすごい雷雨でした。 自宅の窓から見える方向にだけでも、近くに何度か落雷がある様子が見えました。 雷雨といえば夕立。 夕立といえば、7月から8月頃の晴れた日に午後から急に風と雨雲が近づいて、雷とバケツをひっくり返したような雨が通…

オーストラリアの自宅分娩での母体死亡、続報

こちらの記事で紹介した自宅分娩推進活動をしていたCaroline Lovellさんが第二子を自宅分娩で出産した直後に亡くなったことについて、畝山智香子先生のブログに裁判の続報がありました。(「その他」の一番下の記事です) 「助産師は悲劇の自宅出産ママCaroli…

プレゼンター

競泳大会の表彰式では、表彰状や花束を渡すプレゼンターがいます。 過去の日本選手権や世界大会で活躍された元選手の方々がプレゼンターをされているようです。 昨日は、私が大好きだった中村礼子さんでした。 私が競泳に関心を持ち始めた2001年以降に活躍さ…

心の殻を破る

おととい、昨日と、競泳ジャパンオープン2014(50m)が行われています。 昨日は、ずっと応援してきた酒井志穂選手が100m背泳ぎで久しぶりの優勝インタビューでした。 その中での言葉が、「ようやく心の殻を破ることができた」というものでした。 力はあって…

世界はひろいな 13 <「世界中どこでも、・・・」>

同じ時代を生きていても、コーヒーというとインスタントよりはむしろコーヒー豆からいれるものがまず思い浮かぶ世代もいるのだろうと思うと、時代の感覚の違いに年齢を感じるこの頃です。 コーヒーの記憶というとインスタントコーヒーから始る私ですが、その…

社会の現象や事実を観察する

ネジバナが咲く季節になり、そこから観察することについて考え、ようやくぽむぽむさんのコメントへの答えにたどり着きました。 ぽむぽむさん、大変おまたせいたしました。 ぽむぽむさんが「なぜそんなにミルク育児に拒否感があったのか」について書いてくだ…

観察する

前回の記事でリンクしたネジバナの出典・脚注に、「ネジバナのねじれに関する研究」という論文があります。 なんと中学生の研究です。 私がネジバナを初めて見たときに世紀の大発見ではないかと舞い上がったとの対称的に、冷静にネジバナを観察し、その捻じ…

ネジバナ

一年中で一番日が長くなるこの時期は、夏好きの私にとって好きな季節です。 ただ、雨と湿気がもうちょっと少なければいいのですけれど。 3月から4月の花が一斉に咲き乱れる季節が過ぎると、目だった花も少なくなりますね。 あの桜に狂乱する社会が少し落ち着…

行間を読む 15 <会陰切開や裂傷についての文献から>

前回の記事で1980年代には世界各国で、会陰切開に対する見直しが始ったことを書きました。 その背景には、それまでの自宅での分娩から施設分娩へと出産が医療に組み込まれていくことを社会が受容する過程での、産む側や分娩介助する側それぞれの葛藤が医療介…

境界線のあれこれ 48 <会陰裂傷ー助産師の時代の変化>

1980年代半ばに東南アジアの難民キャンプで働いていた時に、カナダとオーストラリアから派遣されていたシスターの助産師と一緒に働く機会がありました。 私の業務とは無関係でしたが、自分自身の関心から分娩の外回りの介助を経験させてもらいました。 難民…

出産・育児とリアリティショック 11 <産後の傷の痛み>

先日の記事にアルデンテさんからいただいたコメントの中に、「産後は切開の傷が痛いくらいで」とさらっと書かれていました。(アルデンテさん、ありがとうございます) きっと1年前のその時期には、傷をかばってそろりそろりと歩いたり、坐るのにも円座が必…

産後のトラブルを考える 13  <仙骨神経刺激療法>

6月5日のヨミドクターに「便失禁に仙骨神経刺激療法・・・装置植え込み神経に電気」という記事がありました。 本人の意思に反して便が漏れる便失禁。その新たな治療法として、体内に植え込んだ装置で骨盤内の神経を電気刺激する「仙骨刺激療法」が4月から保…

出産・育児とリアリティショック 10 <自立した排泄から要介助へ>

以前こんなことを書きました。 無事にお産が終わって安堵し、喜びに満たされている時間というのは案外短くて、お母さん達はあらたな産後の体の変化や苦痛に悩まされ始めます。 まさに、人知れず悩む・・・という感じです。 体が思うように動かせないことや傷…

境界線のあれこれ 47  <「知識」と「本当に理解した」ということ>

20代初めの頃に犬養道子氏の本に出会い、海外医療協力に関心を持ったことはこちらの記事で書きました。 犬養道子さんは「新約聖書物語」「旧約聖書物語」や「聖書を旅する」など、聖書の理解への手引書となる本を何冊も書かれています。 そのどの本に書かれ…

行間を読む 14  <分娩直後の循環器系の変化>

お産直後の体がボロボロになったと感じるもう一つが、立ちくらみが起きやすかったり頭痛がするなどがあります。 健康な人でも、立ちくらみや頭痛があるとなんとなく不調で不安になりますし、自分の体への自信を失いそうになるのではないかと思います。 立ち…

出産・育児とリアリティショック 9 <体を動かせない>

妊娠中はおなかが大きくなるにつれて体の動きが制限されます。 寝返りをうつのもゆっくりしかできないし、「あーーーうつ伏せになって寝たい!早くお産が終わって自由に動きたい!」と思ってすごしていらっしゃることでしょう。 お産が終わると、自由に動く…

世界はひろいな 12 <初乳について思うこと>

母乳は乳児の感染を防ぐことに効果があることは、さまざまな研究からも明らかになりました。 特に出生直後から飲ませる初乳が大事なものであると世界中で認識されたのは、こちらで紹介したように「初乳を『荒乳(あらぢち)』として捨てていた」習慣があった…

世界はひろいな 11  <動物の出産と会陰裂傷>

「出産と育児のリアリティショック」から大きく脱線した話が続いていますが、もうひとつ「へぇー」というトリビアを見つけました。 今日のタイトルの中にある「会陰裂傷」と聞けば、助産師の心中にはさまざまな思いがよぎるのではないかと思います。 それは…

世界はひろいな 10 <ヒト以外の排泄のあれこれ>

*排泄に関する話題が苦手な方はご注意ください 1980年代終り頃に私が助産婦学生で新生児室に実習に行った時、付属の医学部の方が新生児の胎便の研究をしていたらしく、赤ちゃんのうんちを回収していました。 その時にはあまり胎便にも、うんちの変化にも関…

出産・育児とリアリティショック 8 <授乳がこんなに難しいなんて>

またまた動物の話ですが、生まれたばかりの動物でも自分でおっぱいを探して自分で吸いついていきます。ここが自分でできないと、生きて行けないことになります。 母親が子どもを受け入れなかったり、弱くて手助けが必要な時には人工飼育が必要になることがあ…

出産・育児とリアリティショック 7 <「だっこがこんなに難しいなんて」>

動物番組で出産シーンがありますが、生まれた直後から自分で立ち上がって初乳を飲みに行く姿を見ると人間とは大違いですね。 こういう動物の出生直後のシーンを見るたびに、あるいは日々ヒトの新生児の世話をしていると「生理的早産」という言葉が思い浮かび…