2016-03-01から1ヶ月間の記事一覧

簡単なことを難しくしているのではないか 8 <お母さんが動けるようになってからではダメですか?>

「早期接触で脳性まひ7件 出産後すぐの赤ちゃん」というニュースがありました。 出産事故で赤ちゃんが抱っこする「早期母子接触」中に赤ちゃんが急変し、結果的に脳性まひになった事例が7件あったことが28日、分かった。制度を運営する日本医療機能評価機構…

「吸わない」のか「吸えない」のか 2  <日本の授乳指導について、教科書より>

こちらの記事の続きを書こうと思いつつ、どうしても授乳の話は「母乳かミルクか」の話や「授乳がうまくいくための」テクニック的な話にそれやすいので、実はどうも気持ちが前に進みません。 「私たちはまだ新生児や乳児が何をし、どのように変化しているのか…

記憶についてのあれこれ 95  <記憶があって成長する>

毎日のように見ている新生児ですが、あの生まれて数日ぐらいまでの赤ちゃんでさえ、何かを記憶していることを感じます。 たとえば沐浴も、日一日とその経験を記憶して慣れていく様子がわかります。 退院間近の赤ちゃんなら、裸にされてもお湯に入れてももう…

記憶についてのあれこれ 94 <父の指が動いた>

先日、父の面会に行った時のこと、動くはずのなかった右手の親指と人差し指が動くようになっていました。 1年ちょっと前に二度目の脳梗塞で、右半身が完全に麻痺しました。 最初の脳梗塞のあとは、自主的に指を伸ばしたりしてリハビリのようなしぐさがあった…

水のあれこれ 33 <水子>

こちらの記事で「背後水」と思いつきで浮かんだ言葉を検索していたら、「水子の霊」の文章がひっかかってきたことを書きました。 読んでみましたが「水」に反応しただけで検索にあがってきたようです。 「水子」は「みずこ」とだけ読むのだと思っていました…

思い込みと妄想 29 <空耳と妄想>

録画しておいたタモリ倶楽部は空耳アワードの回でした。 以前観た時にお腹が痛くなるほど笑ったナゲット割って父ちゃんがグランプリをとって、なんだか満足したのでした。 最近、ちょっと気分的に落ち込むことが続いたのですが、この妄想の世界に浸って笑っ…

水のあれこれ 32 <背後水>

先日、近くのスーパーに「水素水」のペットボトルが山積みになっていました。 「ああ、これが話題のあの水か」と思いました。もちろん否定的な意味ですけれど。 今日のタイトル、なんだかちょっとあやしいですね。 「水素水」を意識するような、あやしさの漂…

いんげんとささげ

今日のタイトル、ひらがなで書くと謎の呪文のようですね。 私の好きな野菜のひとつに、いんげんがあります。 正式な名前はインゲンマメのようです。 いんげんといえば夏の野菜なのですが、昨年の夏はよく行くスーパーではなぜかいんげんがあまりありませんで…

「思い込みと妄想」 まとめ

2009年頃にニセ科学の議論に出会って、それ以来、なぜ人はニセ科学のようなものに引き込まれて行くのだろうと考え続けています。 ニセ科学っぽい話題に対しての批判のような内容ですが、実は、この記事を書く時にはじんわりと冷や汗のような脂汗のようなもの…

母乳育児という言葉を問い直す 18 <「母乳哺育率」の後ろにあること>

前回の記事で「人工乳の発達は母親を子育ての苦労から解放するという幻想を与えたことだといわれる」という小児科医が書かれた一文を考えてみました。 同じような違和感を感じた文章が、「産後ケアと出稼ぎ1」で紹介した、岩手県のへき地を対象にした「母子…

行間を読む 55  <1950年代の女性はどのように生きていたのか>

「時代の反動で揺れること」で、「母乳育児支援のポイント」の中に書かれていた一文を紹介しました。 昭和30(1955)年代に母乳育児は壊滅的に減少した。それはその時代の風潮が工業製品こそ優れているという意識を深く植え付け、人工乳の発達は母親を子育て…

行間を読む 54  <1975年当時の女性はどのように生きていたのか>

20代の頃に社会の問題に目覚めてからというもの、理想と現実の間を右往左往してきたのですが、その中で一番もがいたことが自分が生まれていない30年前、40年前のことも当然ですが現実感がなく、とても昔だと感じていたことでした。 どのようにその時代を…

母乳育児という言葉を問い直す 17 <1975年の3つのスローガン>

前回の記事で引用した抄録の中に、「1975年に厚生省は、母乳育児推進を推進するために3つのスローガンを掲げた」と書かれています。 そういえば、どこかで聞いたことがあるなと思い出しました。 え?助産師なのに厚生省が出したスローガンも知らないのかと…

母乳育児という言葉を問い直す 16 <母乳育児推進とひとり歩きする統計>

昨日の記事でアメリカ小児科学会の「アメリカにおける母乳育児への取り組み」で、「アメリカでは1950年〜70年代に(混合栄養も含めた)母乳哺育率が出生直後で30%未満、6生月で10%未満」という統計を紹介しました。 日本では同じ頃、どのような状況だったの…

「吸わない」のか「吸えない」のか 1  <アメリカの授乳指導>

しばらく「母乳」や「授乳」関連のまとめが続きましたが、こちらの記事でお約束したOKEIさんのご質問についていろいろと考えてみたいと思います。 そのご質問を再掲します。 ところで、ふぃっしゅさんに教えていただきたいことがあります。扁平乳頭はアメリ…

「自律授乳のあれこれ」 まとめ

私が看護師になった1980年代初め、そして数年後に助産師になった時、私が感じた最も大きな周産期の変化が「自律授乳」という言葉でした。 私が看護師になった頃はまだ聞いたこともなく、新生児別室・3時間毎の規則授乳でした。 また出生直後の赤ちゃんは、す…

ユーモアと好奇心

さまあ〜ずが好きと以前、唐突な話題を書きましたが、タモリさんも好きですね。 初めてタモリさんを見たのは、「笑っていいとも」に兄弟が食いつくように見ていた1980年代半ばでした。 当時は何で兄弟が毎日お昼になるとあの番組を観ているのか、よくわかっ…

「母乳のあれこれ」 まとめ

新生児の出生直後からの変化やその行動についても、まだまだわかっていることはほんの少しであったり、大人側の思い込みが強い部分が多いのではないかと思います。 それと同様に「母乳分泌」に関しても、その全体像についてはよくわからないままです。 ちょ…

「気持ちの問題」 まとめ

ニセ科学の議論で出会った「気持ちの問題」という言葉から、思いついたことを書いた記事です。 そもそも「気持ちってなんだろう」「それはどこから生み出されるのか」と考えただけで、ブラックホールに落ちていくように気が遠くなりそうになります。 やっか…

気持ちの問題 20 <清潔・不潔に感じる境界線の変化>

昨日、たまたまつけたニュースで、「売り上げNo.1のフライパン」を紹介していたのですが、「卵焼きを吹くだけで盛りつけられる」という内容にちょっとびっくり。 検索すると、セラフィットというフライパンのようです。 まあ、たぶん本当に息を吹いて薄焼き…

「完全母乳という言葉を問い直す」 まとめ

「完全母乳」と言う言葉を初めて耳にしたのがいつだったのか、全く記憶にありません。 でもお母さんたちからその言葉を聞くようになったのと、「母乳育児成功のための10か条」が日本の病院でも10年以上遅れて、2000年代に入って広がりだした時期が重なってい…

「母乳育児という言葉を問い直す」 まとめ

言葉というものは不思議ですね。 ある状態を客観的に中立的に表現しているものもあれば、それを越えてなにか思想や価値観まで彷彿とさせたり、強いイメージを与えることもあります。 受け手側のそれまでの思考や経験からも、同じ言葉でも違う受け取り方もあ…

新生児の「吸う」ことや「哺乳瓶」に関する記事のまとめ

お母さんたちや産科スタッフを焦らせるのが、乳首を頑としてくわえようとしなかったり、くちゅくちゅしてぺっと吐き出されたりして、思うように「飲んでくれない」時です。 直接授乳でも哺乳瓶での授乳でも、私が、この状況は「吸い方がへた」なのではなく時…

新生児のあれこれ 50 <「吸わない」のか「吸えない」のか>

私はヒトの新生児にしか接したことがないのですが、動物の赤ちゃん特集などで観る動物の授乳のシーンを見るたびに、人間の赤ちゃんはなぜこんなに授乳にてこずらせる存在なのだろうと考えてしまいます。 もしかしたら、動物の授乳シーンから私が一方的にイメ…

思い込みと妄想 28 <深みにはまる前に引き上げる勇気を>

以前に比べると、ネットでご自身の出産体験を公開されている方がとても多くなりました。 「なるほど、この状況を産婦さんはこう受け止めるのか」など、興味深く読んでいます。 そして、「○○方法をしたから」「○○で(自宅とか、助産所とか、あるいは産院とか…

思い込みと妄想 27 <暗示をかけられているのは誰か>

ヒプノセラピーについて検索して読んでいるけれど、なんだか雲をつかむような話でよくわかりません。 ですから、その「療法」自体への議論まではとてもできませんが、ひっかかったのが「ヒプノ赤ちゃん」という言葉です。 この言葉ですぐに思い出したのが、…

助産師の世界と妄想 21 <ヒプノセラピーとかヒプノ赤ちゃん>

これまでにも「助産師と自然療法そして『お手当て』」を書くためにそっち系の本をいろいろと読んでみましたが、正直なところ「陰性と陽性の食べもの」とか「頭や骨盤のゆがみ」「希釈すればするほど効果がある」など何度読み返しても私の頭には入ってこない…

助産師の世界と妄想 20 <胎内記憶とかバーストラウマとかからもっと危ない世界へ>

昨日の記事から「胎内記憶」を連想された方も多かったかもしれません。特に、このブログを最初の頃から読んでくださっている方々は。 1990年代にはまだ「胎内記憶」という言葉を私自身は聞いたことがありませんでした。 でも、「3歳ぐらいまでの子どもは、…