周産期関係
先日の記事で紹介した「利根川と荒川は河道が安定せず、また次第に並行した流路となり、両者の合流点は下流へ移動した」という一文から、まるで反動から反動を繰り返す社会を言い表しているようだなと思いました。 そして、「反動から中庸へ」というタイトル…
競泳の国内大会では、マスメディア的には注目されず知名度も低いけれど、いつも出場して上位に入賞し続けている選手もいます。 そういう選手が出場されると、思わず大きな拍手で声援をしています。 仕事をしながら練習の時間を調整し、上位に入りつづけるこ…
なぜ「生活史」という言葉に引きつけられたかというと、産婦人科の待合室のここ30年ほどの変化を考えていたこともあります。 私が看護職になった1980年代初頭と比べて、大きく変化したことがあります。 それは待ち合い室に男性と子どもの姿があることです。 …
先日、さらさんからコメントをいただきました。産後4か月もの間、出産に起因すると思われる排泄障害を抱えたままだったとのことです。 日本にどれだけ同じような女性がいらっしゃるのだろう、そして世界中にはどれくらいそれで苦しんでいる女性がいらっしゃ…
思えば遠くへきたものだ。 ブログを書いて、あれこれと回想しているとそんな思いになります。 進学校だった高校時代は「女は大学に行かなくてもよい」と言われ、やりたいことかどうかもわからないまま看護学校に進学しました。 でも入学してからは「自分に合…
先日、胎児心拍のデーターをスマホに送信するという記事がありました。 産科に行かなくても胎児の状態把握・・・心電図データーをスマホに送る腹帯開発進む 2016年6月10日、産経・WEST 妊婦が自宅で電極の付いた腹帯を巻き、胎児の心電図データをスマートフ…
書店にはあまたの妊娠・出産・育児書がありますね。 こちらも定点観測するようにしているのですが、あまりの多さと盛りだくさんの内容に目がチカチカしてしまうので、背表紙を読んで終わりのことがほとんどです。 本やネットでたくさん情報を得ようとする方…
周産期看護というのは、他の看護の分野に比べて「説明する」こと、いわゆる保健指導類の比重が大きいことが特徴かもしれません。 助産師学校ではそういうテキスト類を自分で作ることが多く、驚きました。 妊娠中の母親学級や両親学級のテキスト、入院中のお…
ケアには「重荷としてのケア」さえも「やりがい」になる、一種、麻薬のような作用があるのかもしれません。 「帝王切開をしたお母さんの退院後のニーズと助産ケア」という「助産雑誌」に掲載された記事の中では、元の調査のタイトルは「帝王切開分娩の母親に…
このあたりでも紹介した「助産雑誌」(2014年2月号、医学書院)の中に、「帝王切開をしたお母さんの退院後のニーズと助産ケア」という記事があります。 いばらくこの記事を参考に考えてみたいと思います。 筆者の方が以前実施した調査をもとに書かれた記事の…
助産師に感じる違和感に書いたように、助産師を目指す人の多くが、家族に囲まれて喜びに満ちた明るい出産場面を思い描いているのではないかと感じています。 もちろん、その教育過程でうまくいくお産ばかりではないリアリティを学ぶのですが、助産師の教育自…
今回も「帝王切開のケアを考える」の続きなのですが、内容的には産後ケア全体に言える話なので久しぶりの「産後ケアとは何か」です。 こんさんが病院側との再発防止策の話し合いの中で、「双方で最も認識が違った点」を以下のように書かれています。 病院は…
半世紀前、私が幼稚園児だった頃の写真は、なぜかぷいっと横を向いた写真ばかりです。 カメラを向けられると恥ずかしさが先にたってこういうしぐさになっていたらしいのですが。 家庭にカメラが普及し、家族のアルバムが手軽につくれるようになった時代でし…
先日、m3という医療者向けのニュースサイトで見つけた小さな記事です。 母乳断念、避難で拍車か 福島医大・公開講座で研究者解説 2015年10月13日(火)配信 福島民友新聞 福島医大は10日、福島市で公開講座「福島周産期医療最前線」を開いた。震災、原発…
産後の過ごし方が大きく変化したのは、「出産の医療化」に伴って病院で休養をとれるように鳴った頃ではないかということを「日本のこの一世紀の産後の過ごし方の変化」あたりから書きました。 1960年代から70年代頃でしょうか。 そして「昭和40年ごろの母子…
私自身が「ケア」とは何を指す言葉なのか、長いことそれを仕事としてきたのに表現できないでいます。 そのため「ケアとは何か」や「産後ケアとは何か」のテーマで書きながら整理している途上です。 ですからこの「帝王切開のケアを考える」も、「これがよい…
はじめてこんさんからコメントをいただいたのは2015年5月9日でした。 「早期母子接触」を実施している最中に新生児に異常が起きたという方と、私自身は初めてお話する機会でした。 「早期母子接触」に限らず、もちろん分娩施設内で赤ちゃんが突然亡くなるこ…
だいぶ間が空きましたが、「帝王切開で生まれる」では帝王切開で生まれた新生児の特殊性について主に腸内細菌叢の変化から考えてみました。 ブログを始めてから3年半ほどが過ぎましたが、「母乳とミルク」で悩むお母さんからのコメントを多くいただきました…
少し間があきましたが、「母乳が足りなくても安心」(二木武・土屋文安・山本良郎氏、ハート出版、平成9年)という本は調整乳反対キャンペーンと対になった母乳推進運動の行き過ぎに警鐘を鳴らすための本であったのではないかということを書きました。 とい…
この記事から、「母乳が足りなくても安心」(二木武・土屋文安・山本良郎氏、ハート出版、平成9年)を引用しながら「乳児用ミルクのあれこれ」をしばらく書いてきました。 この本が出版された1997年ごろは、まだ新聞を隅から隅まで読んでいた時期ですし、本…
今回も「母乳が足りなくても大丈夫」(二木武・土屋文安・山本良郎氏、ハート出版、平成9年)の内容を紹介しましす。 前回の記事で、フードファデイズムに陥らないためにも乳児用ミルクの歴史や改良の変遷を知った方がよいのではないかと書きました。 もうひ…
前回の「母乳並みのミルクの誕生」の冒頭では、昨日紹介した時代よりもう少しあとの時代のエピソードも書かれています。 「明治さん、よくぞ先生方の夢を叶えてくれましたねえ」 とため息まじりに話しかけてこられた、かなり年配のお客様の笑顔が、今でも忘…
今回も「母乳が足りなくても大丈夫」(二木武・土屋文安・山本良郎氏、ハート出版、平成9年)を参考に、戦後、乳児用ミルクについての研究によって乳児にとってどのようなベネフィットがあったのか紹介したいと思います。 「母乳並みのミルクの誕生」(p.113…
今回も「母乳が足りなくても安心」(二木武・土屋文安・山本良郎氏、ハート出版、平成9年)から、乳児用ミルクの変遷を紹介しようと思います。 「第二次大戦後の進歩」の中で、乳児用ミルクが大きく3段階に分けて改良されたことが書かれています。 長いので…
こうして乳児用ミルクのここ一世紀の変遷をみるだけでも、今、ミルク缶をパカッと開けてすぐに新生児に安全に飲ませるミルクを作れることはなんとすごいことだろうと思います。 「母乳栄養に失敗」「人工栄養に失敗」、そのどちらも乳児の生命に直結すること…
私が看護学生だった1970年代終わりの頃の産科病棟は、新生児室に赤ちゃんを預かり3時間ごとに授乳をする母児別室、規則授乳でした。 なぜそういう方法なのかあまり深く考えることなく、教科書にも「ミルクの消化時間が3時間」ぐらいしか書かれていなかったの…
先日、マツコ・デラックス氏の「夜の巷を徘徊する」という番組で、葛飾区の立石仲見世の様子が放送されていました。 その中で目を引いたのが、「育児用乳製品の店」という古い看板がそのまま残されていたお店でした。 検索すればけっこうそのお店の写真が出…
「帝王切開で生まれる」からちょっと横道にそれて、久しぶりの「乳幼児用ミルクのあれこれ」です。 前回の記事までで引用した「帝王切開と新生児の腸内細菌叢」という論文に、「母乳栄養児と人工栄養児における糞便中の菌叢の推移(Yoshiokaら、1983)」とい…
帝王切開からの回想が続きますが、今日はその中でも帝王切開の「胎児適応」についてです。 1960年代あるいは1970年代頃までの産科施設では帝王切開の「胎児適応」さえなく、母体救命優先であったことを考えると、その医療の進歩は驚くほどの速さです。 <198…
1980年代終わり頃に助産師になった当時、予定帝王切開でもあるいは分娩進行中に異常があって緊急帝王切開になっても、「あ、これでお母さん赤ちゃんともに無事にお産が終わる」と心の中ではほっとするところがありました。 その後は帝王切開にも10年やってわ…