本質に近づくためのものの見方

何だか小難しいタイトルですが、今日も競泳の話です。


ホッスー選手について検索していたら、以前、NHKの競泳日本選手権で解説者をされていた野口智博氏のブログを見つけました。


初めてNHKの競泳をみるようになったのが、2003年頃でした。
野口氏の解説は注目選手の技術的な部分だけでなく他の選手の注目点などもわかりやすく、決勝でスタート台に立ったひとりひとりの選手の努力に思いを馳せていらっしゃるようなところに引き込まれたのでした。
こちらの記事に書いたように、解説者の話を集中して聴くことができることで、私自身の競泳への関心が深まりました。


先日のワールドカップの会場にいらっしゃったのですね。
野口氏の説明を直接聞く事ができる学生がうらやましいです。


直接リンクできなかったので、「ちょっと聞いてみよう (野口智博公式ブログ・毎週月曜更新)」で検索してみてください。2014年10月30日の記事に、ホッスー選手についても書かれていました。

ハンガリーと言えば、「練習量が豊富」というイメージが強いのですが、彼女の身体を見ると、学生たちから「カッコ良い」という感嘆の声が出るくらい、「豊富」・・・なんてレベルじゃないぐらい練習をしてきていることがわかります。

あ、私が注目した点も見当違いではなかったのですね。
というより、きっと以前、野口氏の解説を聞いていた蓄積でこうした視点が自分の中にできたのではないかと思えるのです。


コーチもまた大変そうでした。ひとレース終わるごとにドリンクボトルを持ってプールサイドを駆け回り、表彰前には体を拭くのを手伝ったり、最後の種目が終わった時には選手とハイタッチしていました(笑)。

あー、私もその光景をずっと目で追いかけていました!

ところでそのホッツー選手、4種目目までは表彰の時にもキャップとゴーグルをしたままでしたが、それ以降は、キャップを脱いだり、最終的にはアポロキャップをかぶってきたりと、見た目にも我々を楽しませてくれました(笑)。
でも実はメンタルの切り替えを、そういった帽子の着脱なんかでやっていたのかもしれませんね。

なるほど!それがプロの視点だと思いました。
私もホッスー選手のその様子が気になっていたのですが、髪の毛を整える時間がなかったからかなぐらいしか思えなかったのです。



そしてもうひとつ、こういう解説が聴きたかったという内容が。

さて、それらを差し置いて、私が最も「この一瞬を観ただけでも一般席3,500円の価値が充分にある」と思ったのは、男子50m自由形決勝でのローランド・スクーマン選手のスタートでした。

彼のスタートは凄いというか、様式美さえ感じられました。

ローランド・スクーマン選手は一番端の1レーンでしたが、私もずっと注目して観ていました!
あ、やっぱり野口氏の解説で学んだことが今になって生きているのだと、うれしくなりました。


ただ、残念なことに泳ぎの方にばかり気を取られて、肝心のスタートはしっかり観ていませんでした。
これがプロの解説者との違いですね。精進します。



野口氏のような解説を会場でイヤホーンで聴けるサービスがあったら最高なのですけれど。



<2018年6月16日追記>


泳ぐことを通していろいろと考えるのですが、野口智博氏の書いたことから考えが整理されることがあります。いつの間にかそんな記事が増えたので、こちらにまとめを作ります。

夏休みの課題図書
水のあれこれ 21 <鳥肌がたつ>
水のあれこれ 23 <抵抗を生み出すもの>
水のあれこれ 24 <泳ぐのに必要な数学と物理学>

事実とは何か 2 <言葉で表現するのは難しい>
行間を読む 53 <水泳の技術のほとんどは、自分の目で確認できない空間の動きで作られている>
水のあれこれ 34 <水の中の「技術の自由度」>
水のあれこれ 35 <泳ぐことを学ぶ意味はあるか>
水のあれこれ 36 <泳ぐことを学ぶ機会があるということ>
水のあれこれ 37 <あらがわない>
水のあれこれ 40 <解放される>
水のあれこれ 41 <独創性のある泳ぎが、泳ぎの目標に近づく>
水のあれこれ 43 <人は目印がなければまっすぐ泳げない>
水のあれこれ 51 <ストリームライン>
2016ウインザー世界短水路選手権
数字のあれこれ 21 <競泳プールの1センチ>
境界線のあれこれ 83 <「体育」と「スポーツ」の違い>
運動のあれこれ 17 <スポーツと運動>
水のあれこれ 85 <上げるより下げる方が大変>
行間を読む 116 「人間が、体育やスポーツに多くのものを期待しすぎている」
行間を読む 129 「短い時間にしっかりと集中し、神経回路をフル回転させて泳ぐ」
水のあれこれ 250 水底から引き上げる