記憶についてのあれこれ 100 <クリーム>

前回の記事の続きで、皮膚に塗るクリームについてです。


クリームというと思い出す匂いが二つあります。
一つはニベアクリーム。
たぶん、これが日本でボデイクリームが一般的に使われるきっかけになった製品ではないかと思います。
でも今のように、おしげもなく全身に塗れるほど手頃な価格でもなく、小さな青缶のクリームを少しずつ手や顔につけていた記憶があります。
あれは、中学生や高校生の頃だったでしょうか。


Wikipediaニベアの説明を見ると、日本では1968年発売開始されたようなので、私が小学生の頃のようです。


でも小学生の頃は別のクリームを使っていました。
冬になると、大事に少しだけ指にとって顔に塗っていたクリーム。
それがウテナでした。その匂いを懐かしく思い出すのですが、匂いもまた表現しにくい感覚ですね。


名前から外国の会社だと思い込んでいたのですが、この説明を読むと日本の会社だったのですね。
そして、あの頃大事に使っていたクリームは、1965年に発売された「お子さまクリーム」だったのでした。


看護学生の頃にはニベアとは別れて、保湿というよりも化粧の一部としてのクリームになりました。


卒業してからも1980年代当時は社会全体に、全身を保湿する必要性とかボデイクリームという発想もあまりなかった時代だったように思い返しています。


というのも、入院していた高齢の方たちは今考えると老人性皮膚掻痒症の方がけっこういらっしゃったのだと思いますが、当時は「皮膚が痒い」という訴えにも何も対応がなかったのでした。
気軽に使える手頃な価格のボデイクリームもなかったのかもしれません。
あるいは、特に当時の高齢の男性は何かを皮膚に塗るといったことに抵抗があったのかもしれませんね。「それは女のすること」ぐらいの感じ。



乾燥しやすい部分は保湿クリームで保護をするというスキンケアが一般化されたのも、そう昔のことではないのかもしれませんね。


20〜30年前にタイムスリップして、あの痒がっていた患者さんたちにボデイクリームを渡してあげたくなります。



種類豊富なボデイクリームを見ると、豊かな時代になったのだと思います。




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