世界はひろいな 42 <列車運行に対する感情>

2000年代に入った頃から、電車の中で運行状況がリアルタイムに画面で確認できるようになりました。特にここ10年ほどで液晶画面型の列車が増えて、事故で止まった路線の情報がすぐ把握できることが助かります。


90年代の通勤では人身事故などで列車が止まると、車掌さんのアナウンスしか情報を得る手段がなく、しかも止まってからしばらくして「○○で人身事故が起きた」ことがようやくわかり、「警察が現場検証をしているので復旧にはあと40分」といった次のアナウンスが入るまで、じっと待つしかありませんでした。
携帯電話もまだそれほど普及していなかったので、職場に連絡するにも公衆電話の前に並ばなければなりませんでした。


また液晶画面では、英語、韓国語、中国語で同時に表示されるので助かる方も多いことでしょう。
それを見ていて、日本語では「ダイヤが乱れる」が英語では「alternate schedule」だと、初めて知りました。



「ダイヤが乱れる」という表現を当たり前のように受け止めて来たのですが、よくよく考えるとちょっと感情をかき乱されるこの言葉を使うようになったのはなぜなのだろうと思いながら、あの話題を思い出したのでした。


「つくばエクスプレスが『20秒早発』で謝罪・・・BBCが驚きをもって報じる」


「らばQ」の2017年11月17日の記事の、「つくばエクスプレスが、定刻より20秒早発したことで『確認が不十分だった』と謝罪した」ニュースに対する海外の反応を思い出したのでした。


「日本の電車が時刻に正確なことは海外でもよく知られていますが、さすがにこれは感心を通り越して驚異的だと思われたようです」として、海外掲示板のコメントが紹介されています。
その中の一部です。

●一方、イギリスでは・・・週に一度でも、時刻通り発車すれば幸運であった。
 ↑ちなみに「時間通り」とは「1時間以内」の意味である。
 ↑イギリスでは30分以上遅れないと「遅延」とならない。一度でも時刻通りだとミラクルだよ。
●「客から早発による苦情はなかった・・・」このことが最も日本的だよ。
ニュースリリースによると「9時44分40秒に発車するべきところを9時44分20秒に発車してしまった」とある。神の祝福がありますように。
 ↑うちの国では秒は計算しないと思う。
 ↑「発車時刻:10時ごろ」
 ↑そして実際は10時半を回っているんだ。
 ↑それは11時に近いってことだよな。
 ↑インド「本日出発します」


私が1980年代半ばに住んだ東南アジアでは電車はまだほとんど整備されていなかったので、交通機関はバスなどが多かったのですが、時刻表どころかバス停も見当たりませんでした。
警察官にバス乗り場と時間を訪ねたところ、「あのあたりがバス停」「いつくるかわからない。今日中には来る」と言われたことがあります。


「らばQ」のコメントを読んでいると、ジョークかと思ったのはあの国だけではなく、そして今もいろいろな国で似たようなものなのですね。


時刻通り正確な列車運行はほんとうにありがたいけれど、そんなに謝らなくてもいいのにという放送が多いとは思います。
たとえば「昨日は列車遅延のためにご迷惑をおかけしました」もそのひとつ。
昨日のことまで謝らなくても・・・。
しかも、その原因をたどっていくと、乗客側の不注意だったりトラブルだったりするのですけれどね。


もしかしたら「ダイヤの乱れ」と言う表現を止めて、「運行時刻が変更」に変えると少しは社会の意識も変わるかもしれないとふと感じたのでした。




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