新生児の哺乳行動とは 1

新生児にとって「吸う」ことは何か、8回にわけて書いてみました。
なぜ私が新生児の「吸う」ことに関心があるのかというと、新生児は飲むだけではないいろいろな複雑な行動を同時にしていることにもう少し注目すれば、厳しい「母乳授乳指導」も変っていけるのではないかと思うからです。


動物のテレビ番組で、母親の育児放棄や母親が死亡して孤児になった動物に飼育員さんたちが親のように哺乳瓶でミルクをあげ排泄させ育てていく話に、ホッとし心から「助かってよかった」と思う人がほとんどだと思います。


哺乳類だから人間も母親の母乳を吸って育つのは当たり前。だから「完全母乳」で育てられる。
そういう言説を聞かれることが多くなりましたが、それは強者の理論ではないかと思います。
まして哺乳瓶や人工乳首もダメとなると、母乳で育てることは茨の道のように厳しいものになります。


出産直後から体を休めることもできず誰もそばで手伝ってくれる人も居ない状態で母子同室が始まり、初めて新生児に接っして何もわからず緊張感のままただただ「吸わせれば出る」「泣けばおっぱい」で「完全母乳」をすることがゴールのような教え方は、本当によいのでしょうか?
あるいは、哺乳類としても人としてもそれでよいのでしょうか?


中にはあの厳しい入院期間があったから、その後も育児の大変さを乗り越えられたと感じる方もいらっしゃいます。
でも「母子同室、母乳だけと言われて本当につらかった。だから今回はそうでないところを選んだ」「前回は体重があまり増えなくてもミルクを足せなかった。自分も母乳だけでとこだわったので、赤ちゃんの体重が増えずに悩み続けた。今回はミルクも足していこうと思う」とおっしゃられる方もいます。
ご自身の体調やご病気など、ミルクを選択する必要がある場合もあります。


そもそも人間は哺乳類として「完全母乳」で育ててきたのか。
そうでないのであれば、WHO・ユニセフの「母乳育児成功のための10か条」は何のために掲げられているのかと言う点も織り交ぜながらしばらく書いてみようと思います。
今までの「新生児の『吸う』ということ」を踏まえながら、しばらく新生児の哺乳行動とは何か考えていきたいと思います。




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