助産師と自然療法そして「お手当て」17 <マクロビ「妊娠・出産・育児のなんでも相談編」つづき>

前回の記事に続いて、マクロビオティックの妊娠・出産・育児に関する考え方をみていこうと思います。


正直なところ私の理解をこえた内容が多く読むのも大変なのですが、それでも妊婦さんや助産師までひきつける何かがその中にあるとしたらそれは何か知りたいと思って記事にすることにします。


そして助産師にとっては、もしこのように信じている妊婦さんに出会った時にどのように対応するのか、特に治療が必要になった時にどのような説明がよいのか考える機会になればと思います。


今回は、気になったマクロビのQ&Aをあげてみます。

Q. 羊水の量が少なめと診断されました。食事や手当てで羊水を増やすことはできますか?


羊水の量が少なめとのことですが、日常生活でほかに異常がなければ心配ないと思います。乾燥肌とか、とてもやせた方でしょうか?食生活は動物性食品や揚げもの、甘いものなどをお好みでしょうか?いずれにしても、動物性食品や菓子類を減らして、ごはんをしっかり食べ、おかずは野菜中心で、煮た料理を多くしてください。

Q. 破水したらどうしたらいいですか?先に破水がおこる原因は?


破水したら産院、助産師に連絡をとり、指示を受けてください。本来出産は、赤ちゃん主動で始まるのが普通なのですが、破水するとそうでなくなります。
破水は身体的、精神的トラブルがない場合、食事の陰性過多から起こるもので、お母さんの食事に甘いものや果物、生野菜などが多かったのかもしれません。

Q. お産による出血が多かった場合の、手当てを教えてください。


ごま塩の頓服です。それから腹帯をしっかり締めること。

Q. 出産後、精神状態が不安定で、つらくてたまりません。マタニティブルーは、時期が過ぎるまで治らないのでしょうか?


マタニティブルーも体調の現れです。まずは一日1回梅しょう番茶を飲んでみてください。主食は十分食べれていますか?毎朝みそ汁は忘れずに。また根菜の炒め煮のような、時間をかけた野菜の煮込み料理を食べるようにしましょう。
食生活が変われば、マタニティブルーも自然に解消します。それまでは自分だけでかかえていないで、声に出して身近な人に話すことです。きっと気持ちが楽になります。

Q. 第二子は、体じゅうに白くなるほど体脂(*)がべったりとついて生まれました。第一子はそんなことはなかったのですが、その差はどうでしょうか?


体脂(*)が白くなるのは、母体が冷えていたため。動物性脂肪は、温度が下がると白く固まります。それと同じ原理で、子宮が冷えていたために体脂(*)が白くなったというわけで、意外に冬のお産より夏のお産のほうに多いものです。暑いからと体を冷やす食べ物を食べたために起こったことで、冷房や薄着の原因もあります。
(*)は原文のまま。正しくは胎脂。

Q. へその緒を切ってからの消毒は、何を使ったらいいの?


オウバク末か、ふきの根の煎じ汁をガーゼにしめらせ、ばんそうこうで貼っておきます。

これはもしかして、無介助分娩をする人たちを想定したQ&Aでしょうか。
感染の危険が高いこの方法は絶対に真似しないでください。

Q. ビタミンK欠乏症を防ぐために、病院では出生時と生後1週間目、1ヶ月健診時にビタミンK2シロップを投与していますが、飲ませたほうがいいのでしょうか?


ビタミンKは、緑黄色野菜に多く含まれています。野菜中心の玄米食の方たちにもシロップはすすめていませんが、そのための異常は聞いていません。あなたが自信をもてれば必要ありませんが、どうしても心配と思うのでしたら投与してもいいでしょう。要は、お母さんの考え方次第です。

ホメオパシー以外にもマクロビが、お母さんたちがビタミンK2シロップを忌避するきっかけになる考え方を広めていたのですね。


2010年に出された「新生児・乳児VK欠乏性出血症に対するVK製剤投与のガイドライン改訂案に助産師の介助の下、助産院もしくは自宅で娩出された新生児についてもVK2シロップの予防投与が遵守されなければならない」の一文が追加された意味を、助産師側は重く受け止めなければいけないと思います。

Q. 舌小帯短縮症の手術を勧められました。母乳の飲みがよくなるそうですが、小さな子に手術というのは、かわいそうな気がします。食事で徐々に治せないでしょうか?


症状の程度によりますが、赤ちゃんにとって母乳は生命の源ですので、飲みが悪い場合は手術もやむをえないかもしれません。舌小帯が短すぎると吸う力が弱いので、母乳の分泌が抑えられ、早く出なくなってしまうということもあります。
乳児期は、人間の一生で最も盛んに発育するとき。その時期に栄養不足ということは、大変なダメージになります。舌小帯の手術はほんの瞬時ですので、早い時点で正常な状態にしてから、正しい食事にするのも一つの方法ではないでしょうか?

2001年に日本小児科学会倫理委員会舌小帯短縮症手術調査委員会から「舌小帯短縮症に対する手術的治療に関する現状調査とその結果」が出され、哺乳障害への影響だけでなく、呼吸障害やSIDSとの関係も否定されました。


それでも「誰かが勧め」「誰かが手術を行っている」ので、哺乳障害改善をうたった舌小帯切除は今もまだ社会の中に残っています。


次回は、マクロビの中の予防接種に関する考え方をみていこうと思います。




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