助産師と自然療法そして「お手当て」 44 <赤ちゃんの頭のゆがみの原因>

さて例の怖いことが書いてあるパンフレットを少しずつ見ていこうと思います。


「なぜ赤ちゃんの頭がゆがんでいたらダメなの?」という漫画があって、次のようなことが書かれています。

最近の子供たちの中にはまっすぐに走れない子や・・・でんぐりがえりが上手にできない子がいます。
ころんでも手が出ずに頭を打ってしまったり、肩こりがひどい子もたくさんいるようです。

昔の子供たちにはあまりなかったそんな症状が急増している原因に「頭のゆがみ」が急増しているのです。
「あたまのゆがみなんてそのうちなおるわよ」なんて言っているお母さん!それはとっても危険なことです。
大人になっても頭のゆがみが原因で体のバランスがくずれて苦しんでいる人がたくさんいるんですよ!

人間は二本の足で直立歩行をしますが、頭がゆがんでいると首の骨や背骨がねじれ、骨盤もゆがんでいることが多く・・・これらのゆがみががんこな頭痛や肩こり腰痛などの原因になるんです。

だから今まだお子さんが赤ちゃんのうちに、頭をゆがませない寝かせ方や頭のゆがみを改善させることがとっても大切なんです。

わぁ大変。
今まで聞いたこともない新説を聞くと、たとえ小児科医が向き癖は自然と矯正されるし脳実質や精神運動発達障害には影響しないと説明しても、不安になることでしょうね。
「将来、肩こりや頭痛の原因になるといけないから」と。


「ゆがんでしまった赤ちゃんの頭のなおし方」として紹介されているのが、「向き癖防止クッション」「天使の寝床」とかいうベビーベッドにつけるハンモッグのようなもの、そしてぐるぐる巻きにする「おひな巻」という布です。


しめて、1万6590円。
成長によってサイズを変える必要もあるようですし、これ以外にもDVDや授乳クッション、「背骨全体を正しく保つ」枕まで購入したら、さらに2〜3万円は飛んで行きそうです。


<赤ちゃんの頭のゆがみと骨盤のゆがみ>


いわゆる「向き癖」は生まれたあとの姿勢だけではないそうです。
「原因の二つ目!骨盤のゆがみ」として、次のような説明が書かれています。

お母さんの骨盤がゆがんでいると分娩のときに赤ちゃんの方がお母さんの尾骨にひっかかって赤ちゃんはななめになって生まれてきます。
そのため首の骨(頚椎)にズレがおき、首が左右どちらかにしか向かなくなるのです


新生児は分娩時(まれに胎内で先天的に)に頚部周辺に損傷を受けることがあります。
時々遭遇するのが、分娩麻痺や鎖骨骨折、あるいは斜頚が代表的なものです。


特に4kg以上の大きな赤ちゃんや骨盤位の赤ちゃんは胎内でも部分的に圧迫を受けやすい姿勢をとらざるを得なかったり、お産の時にも肩や頭が出にくいために通常よりも介助者が強い力をかけざるを得ないために分娩損傷が起こります。


たとえば分娩時などに頚部を過伸展することによってしばらく片方の手が動かなくなる麻痺がおきることがあります。
その理由は「第5、第6、特に第7頚神経に損傷を受けた場合生じる」(「周産期医学必修知識 第7版」p.522)と書かれています。
その場合、神経の損傷です。


ですから分娩時の神経損傷はありますが、私自身は今まで新生児に関して「頚椎のズレ」という表現も診断名も、ましてや治療方法も聞いたことがありません。


パンフレットでは以下のように書かれています。

遷延分娩といって陣痛が始まってもお産が進行しにくいケースがあるんだけれど、骨盤ケアをするとこれも少なくなるし切迫早産にもなりにくく逆子もなおることが多いの。
吸引分娩や帝王切開になると赤ちゃんの首をひねることが多く、それも頭のゆがみの原因になるの。

そこで妊娠中から、「締まった骨盤をつくる骨盤輪支持」のためにトコちゃんベルトをして、「骨盤の形を整える骨盤調整」としてゴムチューブを使った骨盤調整の体操をすることを勧めています。


体操用ゴムチューブが2,100円、体操のDVDが2,625円だそうです。
あ、トコちゃんベルトもかわなくっちゃ。
トコちゃんベルト1が5,775円、その「妊婦帯」が2,625円、トコちゃんベルト2が7,350円、その「妊婦帯」が3,150円。「締めつけがなく内臓を下垂させない」というトコちゃん専用パンツもあると便利そうだから12,600円。


自分勝手に装着してはいけないそうだから、指導を受けなくっちゃ。
指導料3,000円?
あ、こっちの助産師は2,000円だからこっちの方が安いわ。でも初診料5,000円?
ふぅっ。


なんだか、風がふけば桶屋が儲かるのような話ですね。


勧めている助産師の皆さん、大丈夫ですか?





助産師と自然療法そして「お手当て」」まとめはこちら