新生児の手の動きについて、出生直後からの変化は実はものすごい早さの成長ではないかと思うことがあります。
新生児は、何を感じて手を動かし、触りながらどのような動きに進化させているのだろうと興味がつきません。
でも、案外そういう内容の本って見つからないものです。
誰か書いてくださるとうれしいです。
<物を握る>
新生児が何か物に触れ思いっきり握ってつかもうとするのは、モロー反射も関係しているのではないかということを前回書きました。
生まれた直後に臍帯を切る時にコッヘルという鉗子(かんし)で臍帯を挟み、臍帯クリップでとめてからその間を切ります。
そのコッヘルを思いっきり握りしめて離してくれない赤ちゃんがたまにいます。
母体から離れてこの世は驚くことばかりですから、ビクッとするモロー反射も頻発します。
たまたまそばにあって触れたものがコッヘルだったり、あるいは吸引チューブだったり・・・新生児にしたらそれだけの話ですが。
これがまた、力が強くてなかなか手を開いてくれません。
こちらは臍帯剪刀(さいたいせんとう)という凶器を持っていますから、ヒヤヒヤさせられます。
新生児の握る力は大人にも負けない時があるほどです。
<「物を握る」、「指をしゃぶる」>
小さい頃、鉄棒を握るときに親指と4本の指で鉄棒をくるむようになかなかできなくて注意されたことはありませんか?
5本の指をそのまま揃えて握ろうとして。
新生児が物を握る時あるいはげんこつを握る時も、5本の指が揃うような握り方です。
親指と人差し指をあわせて「OK」をするような親指の角度にできるようになるのは、もう少しあと、生後3ヶ月ごろでしょうか。
ですから新生児は自分のゲンコツを口に持っていくことはできますが、指をしゃぶろうとするとなんだか動きがぎこちなくなって、ゲンコツまでも口から離れていってしまうことがよくあります。
たまにまぐれで人差し指とか中指が口の中にはいってチュパチュパしている赤ちゃんもいますが、親指はなかなか見つけられないようです。
親指を吸う指しゃぶりというのは、親指をまず「OK」のような角度にできなければ、その指を伸展させて口の中に入れ続けることが難しいのではないかと思うのですが、真偽のほどはわかりません。
指しゃぶりが始まるのはおおよそ生後3ヶ月ですが、その頃には輪がついたようなおもちゃもうまく握ることができるようになります。
最初は親指を使って握る動作にはほど遠い粗雑な動きだったものが、日々動きが精密になって自らおもちゃを握ろうとする。
その成長は、生まれてわずか2〜3日の赤ちゃんにも見られます。
抱っこされている時にお母さんの服を一生懸命ぎこちない動きですが掴もうとしたり、自分の顔や髪の毛を掴もうとしたり。
最初は原始反射がきっかけの体験かもしれませんが、その中で何かを感じて自分の動作として学習していく。
そうした小さい日々の体験と学習が、物を握るという目的を持った行動につながっていくと思うと、新生児とはなんと自律した存在なのだろうと思うのです。
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