新生児のあれこれ  24  <兄・姉からの感染>

前回の記事で書いたように、退院後まもなく感染症で入院する新生児がいます。


特に、経産婦さんの赤ちゃんの場合、上の子の風邪や感染症をもらいやすいようです。


あるいは退院後に産後の手伝いがなくて、上の子の保育園や幼稚園の送迎をしなければならないお母さんたちもいらっしゃいます。


生まれたばかりの新生児を家に置いたままにするわけにはいかないので、「送り迎えのときに赤ちゃんを連れて行ってもいいでしょうか?」という質問も多いです。


経産婦さんは初産の時に比べて体調も早く回復するので退院後も家事・育児とこなせますから、送迎自体がお母さんの体力にそれほど負担ではない方が多いようです。


「保育園や幼稚園ではどの子が感染症の潜伏期にあるかわからないので、さっと行って、他の子に赤ちゃんを近づけないようにしてさっと帰ってきてくださいね」としかアドバイスのしようがありません。
他に、送迎を頼める人がいないのですから。


このように、大人だけの家に退院する初産の時とは全く違う、感染症に対する危険性が増えるのが二人目以降の新生児です。


ですから、入院中の経産婦さんには、退院後の上の子からの感染についてできるだけ印象に残るような説明を心がけています。


また、退院直前になって「上の子が風邪をひきました」「上の子が水疱瘡になりました」ということが時々あります。
上の子からの感染の危険性がなくなるまで、上の子と新生児が別々のところで生活できるような手はずを整えてもらうようにします。


「明日から、上の子と赤ちゃんと一緒に生活できる」と楽しみにしていたお母さん達の気持ちをどれだけ打ち砕くことでしょう。
また病気になった上の子のことも心配で、身を引き裂かれるような思いになるのではないかと思います。
それでも皆さん、新生児への感染を「怖い」と感じてくださるのでしょう。なんとか実家や親戚と調整してくれます。


<自宅分娩のリスク>


この新生児の感染、特に上の子からの感染が、自宅分娩のリスクにもなると思います。


特に「お産の時に誰も上の子を世話してくれる人がいないから」という理由で自宅分娩を選択された場合、分娩の頃に上の子が何か感染症にかかれば残された手段が何もないということになるからです。


出産で入院中の数日間、上の子の世話をしてもらえる人がいない。
本当に切実な問題です。


私自身は自宅分娩そのものをやめたほうがよいと考えていることは、こちらの記事をはじめ常々書いてきました。
たとえ医師が往診してくれたとしても、緊急時の対応が遅れるからです。


それでも自宅分娩を選択される方を引き止める言葉を、私は持ちません。


でも、「上の子の世話をする人がいない」からという理由の方は、もう一度考え直していただけたらと思うのです。
そういう理由の方こそ、出産そして退院近くに上の子が感染症にかかることを想定して、何とか上の子を世話してもらえる方法を考る必要があると思います。


大事な赤ちゃんを、敗血症や髄膜炎のリスクから守るために。




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