産後ケアセンターと「骨太の方針」

6月1日のニュースに次のようなものがありました。

政府の骨太の方針素案判明


政府が今月中に決定する経済財政運営の指針「骨太の方針」の素案が1日、分かった。地方財政は「リーマン危機以前の状況に向けて適正化を図る」とし、危機対応で導入した地方交付税の算定で上乗せしている特別枠を解消する方針を明記した。膨らみ続ける社会保障費は「聖域とせず見直す」考えを打ち出す。
6月1日(土)共同通信


正直なところ政治の話はよくわからないのですが、私がこの「骨太の方針」の報道を待っていたのは、5月のこの記事が理由です。

産後の母子、施設でケア・・・新米ママの不安緩和


政府は、これまで手薄だった出産時の支援を強化するため、出産直後の母子の宿泊や日帰りで受け入れる「産後ケアセンター」を全国で整備する。
核家族で実家に頼れない妊産婦が増える中、出産で疲弊した母親の心身のケアや授乳支援などを行い、子育てのスタート期を応援するのが狙い。6月にまとめる「経済財政改革の基本方針(骨太の方針)」に盛り込み、来年度はモデル事業に取り組む。


「産後ケアセンター」には助産師らが常駐し、産後の母体の回復や赤ちゃんの健康チェック、沐浴や抱き方などの指導や育児相談も行う。
多世代同居が減り、産後に頼る人のない母親が増えている一方、出産の入院期間は産科医不足のため以前の一週間から4,5日が一般化している。
授乳にも慣れないまま退院し、育児不安や過労により、出産後に1割がうつを発症しているとされる。虐待に発展したり、第2子以降の出産を困難にしたりするケースもあり、産後ケアの必要性が指摘されていた。
5月26日 読売新聞


<「骨太の方針」、経済財政改革>


「骨太の方針」というのは、リンク先のウィキペディアによれば以下のようです。

小泉純一郎が聖域なき構造改革の着実な実施のために経済財政諮問会議にて決議させた、政策の基本方針

そして、経済財政諮問会議の構成をみると、以下のようです。

内閣官房長官内閣府特命担当大臣(経済財政政策担当)が法によって定められている。「各省大臣のうちから、内閣総理大臣が指定するもの」として財務大臣総務大臣経済産業大臣が・・・(以下略)


この「骨太の方針」も「経済財政諮問会議」も、安部内閣になって復活したと書かれています。


経済財政諮問会議助産業務>


一見、医療とは無関係のこの会議で、助産師の業務が検討されたことがありました。


2007年の話です。
当時、いくつかの医師ブログで話題になりました。
「勤務医 開業つれづれ日記」の2007年12月8日の記事を紹介します。

安価な医療を行うため
医師より安い看護師を使う
そんな
なりふりかまわぬ
規制改革会議、
経済財政諮問会議は、
”亡国の使徒
のような存在です。

そう、当時規制改革会議による医療分野の規制緩和策として、「助産師による正常分娩時の会陰切開、縫合」を「解禁」させようという動きがありました。


この経済財政諮問会議が復活して提案している「産後ケアセンター」は、本当に「これまで手薄だった出産時の支援を強化するため」なのでしょうか?


「膨らみ続ける社会保障費は、『聖域とせず見直す』考えを打ち出す」という骨太の方針と、どのように整合性をとっていくのでしょうか?