産後のトラブルを考える 1

前回の記事で私自身の年齢と筋力の変化を書いたのは、最近、産後の排泄のトラブルの続くお母さんたちからの相談が続いたので、それについて考えてみたいと思ったのでした。


無事にお産が終わって安堵し、喜びに満たされている時間というのは案外短くて、お母さん達はあらたな産後の体の変化や苦痛に悩まされ始めます。
まさに、人知れず悩む・・・という感じです。


産後、自力で排尿ができなくなったり(尿閉)、尿漏れどころかどっともれてしまう尿失禁を起こす方もいらっしゃいます。
傷の痛み、あるいは妊娠・出産を機にできた痔の痛みで排便がままならないこともあります。
こちらの記事に書いたように、特に初めてのお母さん方の心身の苦痛というのは大きいものです。


「お母さんになったのだから、赤ちゃんの世話をするのが当然」とどこからともなく感じるプレッシャーの中で、痛みや不安や羞恥心で本当は赤ちゃんどころではないほど大変という気持ちがあったとしても言えないで我慢している方もいらっしゃるのでしょう。


看護職にしてみれば排泄の介助なんてそれこそ日常業務なのでなんとも感じなくなってしまいやすいのですが、それまで自立した排泄をしていた成人女性にとって、地獄にでも落とされるような思いではないかと思います。


私の勤務先では、今後の改善事項の参考にするために、退院時に「お産のアンケート」としてお母さんたちに自由記載で書いていただいています。


その中に、かなりの頻度で「おしもの悩みに、こちらから言わなくても声をかけてもらい助かった」という声があります。
中にはスタッフにいえないまま退院し、トラブルを抱え続けて病院を探し回ったり、中には未検証の代替療法に無駄な時間とお金を費やしてしまう可能性もあることでしょう。



まだ十分に定義されていない産後ケアという言葉ですが、この中でも特に排泄へのケアと長期的にみた筋力回復や維持が、女性の長い人生に大きな影響を与えるものとして大事なポイントではないかと思います。


「産後の排泄トラブルのある方が増えた」のはあくまでも私の印象ですが、さらに「トラブルが長期化する方が増えた」「便失禁のトラブルが出る人も出てきた」印象があります。


以前は、産後の尿漏れや尿失禁も退院の頃にはかなり改善していた印象があります。
また、便失禁に至ってはよほど3度、4度裂傷といって肛門括約筋まで裂傷が及ぶような場合の非常に珍しいケースだという認識でした。


果たして、この産後のトラブルについてどの程度までわかってきたのか、私の印象はどこまで現状をとらえているのか、いろいろな資料を探して勉強がてら記事にしてみようと思います。


また、お読みくださっている皆さんの個人的体験談でもよいので、気軽にお知らせくださると参考になります。


退院後にも悩んでいるお母さんたちを適切な医療につなげ、長期の回復過程になってもサポートできるような標準化されたケアができるとよいのですが。




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