産後のトラブルを考える 10 <産後の排便トラブルの実際>

産後の便失禁とはどのような状態で、どのような苦労があるのでしょうか。


ネットで検索するとご自身の体験を書かれたブログもいくつかありました。
おならや便、便汁が漏れてしまうために、外出もままならないようです。
それが原因で、仕事を辞めざるを得なくなった方もいらっしゃるようです。
子どもが大きくなるにつれて、母親同士の付き合いや学校の面談やクラブ活動の付き添いなどに参加する機会が増えますが、そういう外出さえ不安が強くてできないようです。
出かける必要がある当日は、便失禁しないように絶食されているなども書かれていました。



<出産と便失禁に関するネット上の情報>


ネットで検索した情報をみると、2004〜2006年ぐらいの間に新聞などでこの問題が話題になったようです。
私が検索しただけですので、もっと以前から話題にはなっていたのかもしれませんが、とりあえず、時期の早い順にいくつか紹介してみます。


共同通信社の「最新医療情報」に「早めに手を打とう 悩み多い便失禁 高齢社会で増加」という記事があります。日付がないのですが、2004年のもののようです。(直接リンクできないようなので、上記名で検索してみてください)


大腸肛門病センター日高病院(福岡県)の高野正博院長が以下のように説明しています。

女性は構造上、前方の括約筋が弱く、出産時に括約筋が切れたり薄くなる
回復はするが、完全にはなかなか戻らない。その上、排尿や排便をつかさどる陰部神経も骨盤の内側を通っているため、出産時にすれて損傷を受けやすいという。
同院長は、括約筋の力が弱ってきた兆候として、1.便が我慢できない2.トイレに走りこむ3.下着が汚れる4.便とガスの区別がつかない5.下痢便が漏れるーなどを挙げ、「この段階で受診し、肛門の圧を測って対処したほうがよい」という。

「健康、長生き、アンチエージング」というブログの2006年11月の記事に、読売新聞の記事が紹介されています。

 東京都の30歳代の主婦は産後、1年以上も便失禁に悩まされた。
子どもと外出した時、便意を感じるとトイレまでもたない。母親同士の付き合いがしづらくなり、産婦人科医に相談したが、「そのうち良くなります」といわれただけだった。

 便失禁は女性に多い傾向がある。男性より括約筋が薄いうえ、妊娠中や出産時、排便に関係する筋肉や神経に負担がかかるためだ。
 出産時には、括約筋の損傷を防ぐため、事前に膣の横に切れ目を入れる会陰切開が行われることが多い。それでも難産の時などは括約筋を痛めてしまう。

社会保険中央病院(新宿)の山名医師が以下のように説明しています。

「出産後の失禁の多くは徐々に回復します。ただ、1年以上続く時は、検査を受けて欲しい」と話す。

もうひとつ、さいたま新開橋クリニックのサイトに「妊娠と肛門」がありました。いつかかれたものかは日付がないのでわかりません。


この内容は、専門的ながらもとてもわかりやすいので、後日もう少し詳しく紹介しようと思います。
冒頭に以下のようにあります。

まず、医師の教科書的な知識としては、「多産の女性に便失禁患者が多い」というものがあります。そして、教科書的な記述は実はそこまでです。それ以上の知識がある医師は、かなりの専門家ということになります。


医師の中でも、まだ出産と便失禁に関してはまとまった考えがない段階なのかもしれません。





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