ものの片付け方

年末に大掃除をされて、気持ちよく新年を迎えた方が多いのでしょうか。


私は基本的に「大掃除」はしません。
年末年始は通常通り出勤しているということもありますし、寒い時期に掃除をするよりは、水をジャバジャバと使っても気持ちがよい秋ごろまでには大物の掃除を終えるようにしていることもあります。


あと、物をできるだけ増やさないことと、毎日そのつど掃除をすることを20代の頃から始めてみたことで、大掛かりな掃除をしなくて済んでいる理由です。


ですから引越しとか、海外へ行くときなど数日以上家をあける直前などに、いつもより念入りに掃除や片付けをする程度でした。
変な話ですが、海外に出かけるときには旅先で何があってもよいようにという覚悟のようなものをしながら片付けていました。


このきっかけになったのが、これまでも何度か紹介してきた犬養道子氏の本でした。



<キッチン整理術>


NHK「妄想ニホン料理」という番組が気に入って観ています。
あの中で概ねヨーロッパの国々のレストランのキッチンというのは、清掃と物品の管理が徹底されていることがわかります。
あ、ベトナムの有名レストランの女性シェフの時にも、キッチンはピカピカで物がすっきりと片付けられていました。


今でこそ台所の片付け術のような本がたくさん出ていますが、1980年代初め、私が20代に入った頃はあまり見かけなかったように思います。


高度経済成長期に入って、日本の家庭に物が溢れ始めた頃です。
「物を整理するコツ」のような本はあったのですが、物が増えていく中、それを籠やら箱に入れて見栄えよく片付けるというものが多かったと記憶しています。


子どもだった1960年代から70年代はまだ各家庭の購入力の方が低く、家の中はすっきりしていましたし、片付けも簡単でした。
ところが1980年代頃になると、実家に帰るたびに物が増えていました。
せっかく新築できれいだった台所も料理器具や食品が溢れている様子に、いつも気が滅入っていました。
あれだけ子どもには「部屋を片付けなさい」と言っていた人なのに。
いつも母親とケンカしながら、大掃除をするのが私の役目でした。
もしかすると本当に物のない戦前に生まれ育った母親にとって、身の回りを物に囲まれる時代へ急激に変化したことにどう適応したらよいのかわからなかったのかもしれません。


そんな頃に出会った犬養道子氏の著書の中に、「ラインの河辺ードイツ便り」(1973年、中央公論社)がありました。


台所を使い終わると、水一滴も残さないようにふき取る。
神経質な人だけでなくどの家庭でも行われていることに驚きました。
これは、ドイツの水質が理由です。
拭き残すと石灰分が残って、こびりついてしまうためのようです。


そのためには、物を全てしまって拭きやすいようにすることが大事です。


自然とキッチン台の上は物がなくなり、きれいにふき取られます。



あ、なるほど。
そのつど物を全てしまうことを心がければよいし、そのためにはものをできるだけ増やさないようにすればよいのだ、と感動したのでした。


日本の場合、水道水の石灰分は少ないのですが、少し油断をするとすぐにカビが生えます。
1980年代終わり頃からユニットバスが一般的になりましたが、お風呂が終わったらタオルで壁の水滴をふき取ることを、ドイツに見習ってしてみました。
最初は面倒ですが、習慣になればそれほど苦にはなりません。
そして拭きやすいように、お風呂場の中に置く物を極力減らしました。
継続は力なりで、特別に洗剤や漂白剤を使わなくても、カビを生やすことがなくなりました。



おそらくヨーロッパのレストランのキッチンが、物一つなく片付けられているのはこの理由ではないかと思い出しながら観ていました。



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