裸の王様と集団思考

昨日の記事で引用したwikipediaの「裸の王様」で、最後の方に「関連項目」の中に「集団思考」がリンクされています。

集団思考


集団で合議を行う場合に不合理あるいは危険な意思決定が容認されること、あるいはそれにつながる意思決定パターン

あ、やっぱり。
まるで、今までの日本の助産師の世界ではありませんか。


<「欠陥のある決定の徴候」・・・ホメオパシーへの対応>


その「集団思考」の中の「欠陥のある決定の兆候」を読むと、助産師の中にホメオパシーが広がって問題になった2009年頃の助産師内部の対応と重なります。

欠陥のある決定の兆候


1.代替案を充分に精査しない
2.目標を充分に精査しない
3.採用しようとしている選択肢の危険性を検討しない
4.いったん否定された代替案は精査検討しない
5.情報をよく探さない
6.手元にある情報の取捨選択に偏向がある
7.非常事態に対する計画を策定できない

助産師内部といっても、「どのような助産師を育てたいのか」に書いたように、私自身、日本の助産師の方向性というものがどこでどのような人たちに決定されて進められているのか、いまひとつよくわからない集団なのです。


さて、助産師の「集団思考」がよくわかる例が、2000年頃から助産師に広がったホメオパシーでした。
私は助産師会に入っていなかったので、ホメオパシーが広がっていることも、そういう研修を助産師会が率先して開いていることに対する批判があることも知らずにいました。


そして、「日本助産師会」の「東洋医学代替医療ホメオパシーとの関係」に書かれているようなことが起きました。


最初に2010年7月9日付で助産師会から「ビタミンK2投与がなされず、児が死亡した件に関して」という文書が出されましたが、以下のような内容でした。

二度とこういうことが起きないよう本会としても、強く会員に注意の喚起を促がしていきたいと考えている。
今回の自然療法を含む東洋医学代替医療に関する本会の見解を述べる。

つまり、この時点では助産師がホメオパシーを使うことがなぜ批判されているのか理解できていないだけでなく、「自然療法」のひとつぐらいの認識しかなかったわけです。


その後、2010年8月24日に日本学術会議会長談話のあと、ようやく「助産業務としてホメオパシーを使わせない」と明言しました。


助産師教育を担う人たちを対象にした「助産師教育ニュースレター」No.68(2010年9月)には、その会長談話が全文掲載されているだけでした(p.8)。
助産業務の中での「代替療法リスクマネージメント」を考える必要がある非常事態であったはずでしたが、どこからも根本的な解決策を考えようという声はあがってきませんでした。


「代替案を充分に精査しない」
「採用しようとしている選択肢の危険性を検討しない」
「情報をよく探さない」
「手元にある情報の取捨選択に偏向がある」
「非常事態に対する計画を策定できない」
まさに、「欠陥のある決定の兆候」に書かれている通りの経過でした。