境界線のあれこれ 29 <看護師と准看護師>

世の中の職業には、同じような職域でもいくつか異なる資格が混在していて、外から見るとその違いがよくわからないものはたくさんあります。


助産師の中に強い「私は看護師ではありません(キリッ)」という態度も、外から見れば看護師と助産師の違いがわかりにくいからなおさらこだわりたくなるのかもしれません。
そんな助産師も、きっと「弁護士と弁理士の違いを述べよ」と言われてもわからないですよね。



看護師と助産師の違いは2種類の国家資格の違いでもあるので説明しやすいのですが、看護師には正看護師と准看護師がありますが、医療従事者以外でその資格の違いと仕事の違いをご存知の方はどれくらいいらっしゃることでしょうか。


昨日の記事でも紹介した「連盟創設の頃の看護の状況」の3ページ目に、「准看・正看」の説明があります。

「看護師」とは国家試験等に合格し看護師免許を有する者をいうが、これに対し、都道府県知事試験の場合は、「准看後師(准看)」の免許が公布される。准看護師制度は、戦後の看護師不足に対応するための暫定処置によるもの。正看は、この”准看護師”に対する”看護師”の俗称(「正看護師}の略)である。


ちなみに私の勤務先のクリニックで「あの師長さん」と思われている看護師さんが、実はずっと先代の医師の時代から勤務している年配の准看護師さんです。
来院される方々には信頼できるような雰囲気があり、頼もしく感じるのだと思います。


それに対して、私を含めて「私たちの方が資格が上だ」と思っているスタッフも今のところいません。


本当に頼りになる方だからです。



看護ケアを受ける側の方にとっては、資格よりもやはり経験量やその人の人柄などが重要に感じるのではないかと思います。



ところで昨年、神奈川県が准看護師養成を今後廃止していくことがニュースになったことは記憶にある方も多いかもしれません。
「本県の准看護師養成停止に関する考え方について」を読まれると、その経緯が少しわかると思います。


この看護師の資格については長い間議論があり、立場が異なればそれぞれの考えや想いがあります。
また、さまざまな専門家がこの資格問題についても研究していて、私にはとてもその議論の全容を理解できるほどの知識はありません。


ただ、最近、診療所の看護や半世紀ほどの看護の歴史を考えている中で、この准看護師制度をもう少し違う視点からも見ることができるのではないかと思うようになりました。



看護の問題を語る上では非情にデリケートな話題なのですが、しばらくこの准看護師という資格について勉強がてら書いてみたいと思います。


そう産科診療所の看護を考える上では、絶対に必要なことでもあるのです。





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