境界線のあれこれ 42 <記憶と忘却>

筋力の低下やら老眼やら、中高年のブログは・・・と言われそうな内容が増えてきました。


まぁ自分の経験や回想、あるいはうんちくを語りたくなってきただけで充分に中高年だと思いますが。


電車の中などで高齢者の方々の会話が聞こえてくると、自分の病気やどこかしこが痛いつらいという会話が多いですね。
「まったく・・・」と思っていたのに、職場の同僚とも「膝が痛い」だのの話がちらほら出始めるこの頃です。


私の勤務先は40代から60代のスタッフが多いので、物事を忘れやすくなってきたことを実感しながら働いています。


たとえば1〜2年以内に、ある業務の方法を話し合いで変更したとします。
議事録で皆が確認をしているはずなのに、しばらくすると以前のやり方になっていて「え、変更したっけ?」という人が必ず何人も出てくるのですね(笑)。


20代から30代のスタッフが多い職場ではこういうことはなくて、一度決めるとかなり徹底されていった記憶があります。


あ、でもその記憶自体がもしかすると違っているかもしれないですね。
記憶ってなんでしょうか?


<最近のことが覚えられない>


近頃は、先週退院した方の名前を見ても、その人を思い出せないことがあって愕然とします。


20年以上前から自分が分娩介助した記録を全部残しているのですが、今でも20年前の記録を見てもその日の状況がけっこう思い出せるのです。


ところが同じように記録してあるノートを見ても、先週分娩介助したときの状況を思い出せないこともあります。
何か強く印象に残ることがあると思い出せるので、記憶力が衰えたとひと口に言っても、記憶に残る段階のどこかに変化が起きているのかもしれません。


<悪いことばかりでもない>


最近のことを忘れる、というか覚えなくなったことも悪いことばかりではないかもしれません。


冒頭の老眼鏡の記事で書いたように、あの震災後、読書からテレビを観ることに比重が移った生活をしています。


以前は見ることのなかったドラマにもはまっています。
特に「相棒」を全部録画してみています。
再放送を一通り観終わって、現在、また再放送されているので同じものをまた録画してみています。
以前なら一度読んだ本をもう一度読むというのは苦痛でしたし、同じ番組を観ることはなありませんでした。。


ところが最近は「あ、これは観たことがある」とわかるのですが、結末の記憶がなくなっているのですね(笑)。
お陰で、また「犯人は誰か」と楽しめます。
それに、一度観ただけでは気づかなかったと思うような俳優の演技力を新たに発見するというおまけもあります。



近い記憶を忘れやすいというのは、人生の深みを考える機会になっている。
と、良いほうに解釈することにしています。




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