看護基礎教育の大学化 14 <大学のメリットとは>

少し間があきましたが、このあたりから書いてきた看護基礎教育の大学化についてまたしばらく続きます。


看護大学であれ、看護専門学校であれ、最終的には国家試験に合格することがまず第一の目標ですから、その教育の内容の基本はそれほど変わらないはずです。


看護教育のカリキュラムは、「1951年カリキュラム」「昭和カリキュラム」「平成2年カリキュラム」、そして大学化を見据えた「平成9年カリキュラム」へと移り変わってきたようです。


「看護の動向と今後の課題{その1}ー教育カリキュラム分析を中心にー」(武分祥子氏、「立命館産業社会論集」、2005年6月)のp.232からその詳細についての説明があります。


昭和カリキュラムで学んだ私たち世代とは異なり、現在では「老人看護学」があったり、成人看護学も疾患別や内科・外科などの診療科目別ではなく「食物を消化吸収する働きを障害された対象の看護」のように時代に合わせて大きく変化しています。
あるいは2009年からは災害看護があらたに加えられました。


時代の変化によって体系を再編したり、新たな看護学が作られたりしますが、専門学校であれ大学であれ、国家資格取得のためですから大きな内容の変化はないことでしょう。


<大学で看護を学ぶメリットは>


最初から看護職を目指す人にとって、大学教育のメリットは何か。


「大学で看護を学ぼう!キャンペーン」の「看護がわかるQ&A」に「看護学を学ぶにあたり、大学を選択することのメリットは何ですか?」として4年制大学で看護を学ぶ6つのメリットがあげられていました。

・一般教養を学習する時間を持つことができる
・休暇を利用して海外留学や研修などの経験を豊かにすることができる
・多様な専門分野を深めている教員から教わることができる
・キャリアアップのために大学院(修士・博士課程)に進学できる
・国家試験合格率は、専門学校、短大に比べて高い
・学歴は大学卒となる

「日本看護系大学協議会」という団体のサイトに書かれているので、上記の6つが看護系大学教員の考えるメリットと受け止めてよいのではないかと思います。


「国家試験合格率」が専門学校や短大のほうが低いのであれば、それは大学のメリットというよりも、国家資格そのものの問題として捉える必要があるのではないかと思います。


看護専門学校も3年間の詰め込み教育といわれても、夏休みは1ヶ月ぐらいありますから、経済的にゆるされれば「休暇を利用して海外留学や研修などの経験を豊かにする」ことも可能だと思います。
あくまでも経済的余裕があれば・・・の話ですが。


「一般教養を学習する時間」については「教養」とは何かということになると思いますし、「専門分野を深めている教員から教わることができる」の「深めている」とはどういうことかということにもなります。


そういうことをひとつひとつ考えてみると、最終的にメリットとして残るのは「大学院に進学できる」と「学歴は大学卒となる」の2つぐらいではないかと思います。






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