看護基礎教育の大学化 15  <看護を教える人>

30年ほど前、私が入学した看護学校は病院に付属した学校でした。
その病院で働いていた方が教員として2年、3年と学生を教え、そして臨床に戻っていくシステムでした。


まだ看護のかの字も身についていないような学生にとって、教員というのはとてもベテランの雲の上のような存在でした。
でもよく思い返すと、臨床経験3年ぐらいで教員になっていた方もいらっしゃいましたし、ほとんどの方が30歳前だったと記憶しています。


各診療科の医師が講師として疾患の授業をし、それに対して看護教員が看護を教えるという方法でした。


つい最近まで病棟で実際に働いていた教員ですから、基本的なことをふまえた上で現場が目に浮かぶような教え方でした。
あー、早く病棟で実習してみたいと引き込まれる授業が多かったです。


そしてその学校ではずっと教員として働く人は少なくて、数年もすると臨床に戻っていきました。
卒業して配属された病棟で、それまで教員だった方と同僚になることも珍しくはありませんでした。


看護学教授の特殊性>


人に何かを教える教育と言うのは、それだけでも専門性が高いというのは理解できます。
看護教育に向いている方もいらっしゃると思いますし、そこを極めていかれたいと思う方がいてもかまわないと思います。


ただ、看護基礎教育の大学化の流れで「あれっ?」と感じたのは、看護系大学の教員、特に教授や准教授のプロフィールでは現在も臨床で働きながらという方々をほとんど見かけないことです。
もちろん看護の現場は病院だけではありませんが、なにか実践のフィールドがあってもよいように思います。


たとえば私が卒業した医学部付属助産婦学校の学校長は、その医学部産婦人科教室の教授でした。
自ら診療もされ、教育も行い、研究もされていました。


ところが看護学の教授となると、臨床(臨地)を離れてしまわれるのはなぜなのでしょうか?


どれくらいの教員が臨床実践をつづけていらっしゃるのか、看護学は臨床と離れた方が教育するメリットがあるのか、反対にデメリットはないのか。


特に、前回紹介した大学で看護を学ぶメリットの「多様な専門分野を深めている教員に教わることができる」と言う意味は、具体的にどういうことなのでしょうか。


そのあたりを知りたいと思うのですが、資料をご存知の方はどうぞ教えてください。






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