世界はひろいな 11  <動物の出産と会陰裂傷>

「出産と育児のリアリティショック」から大きく脱線した話が続いていますが、もうひとつ「へぇー」というトリビアを見つけました。


今日のタイトルの中にある「会陰裂傷」と聞けば、助産師の心中にはさまざまな思いがよぎるのではないかと思います。


それは会陰裂傷1度と2度が、産科医と助産師の業務範囲の攻防の境界線になってきた歴史があるといってもよいかもしれません。


あ、私は「医師のいないところでは分娩介助しない」ことが現代の助産師なのではないかと考えているので、最近はあまり会陰裂傷にはこだわりがありません。


でも、玄米を食べたり冷えないようにすれば「会陰裂傷を防げ」て助産師だけで分娩介助できるとか、「臨時応急の手当て」として縫合術は助産師に認められた医療行為であるとか、助産師界隈では何かと話題になる会陰裂傷です。


どちらかというと、昔の日本の女性や現在でも世界中の医療の恩恵のない地域での産科フィスチュラについてもっと知りたいと思っています。


<馬にもあった会陰裂傷>


ところで、なぜ人間は出産時に母親に、時に致命傷となったり出産後に排泄に苦しむような恒久的な障害を残すような会陰裂傷ができてしまうのだろうと、分娩に携わっている人であれば悩み続けているのではないかと思います。


考えられる一つの理由は、ヒトの頭が大きいので産道が裂けてしまうとこかもしれません。


ただ、児頭が出るところは裂けていなかったはずなのに肩が出るところで裂けることもあるので、母体の産道に比べて胎児自体の体格が大きいことが理由なのでしょうか。


そして動物番組で出産シーンがあると、前脚やら後脚からニュルーンと出て終わりという感じですから、動物は会陰裂傷はないのだろうと思っていました。


「馬うま牧場ライフ」というブログの「米国クレイボーン牧場におけるお産」に、馬の会陰裂傷について書かれていました。
(直接リンクできないので、上記名で検索してみてください)

多くの母馬は陰部を縫って、感染を防ぐ必要がある。この縫った部分はお産前や種付け前に切られなければならない。

「切られなければ」というのは抜糸という意味でしょうか。

こういう母馬は産後また縫い合わせる必要があるが、少なくともお産のあったその日には、すぐには縫い合わせない。

このあたりはヒトとは少し状況が違いますが、ウマのお産にも会陰裂傷がつきものなのですね。


他の動物、特に獣医による医療を受けることのない野生の動物の出産ではどうなのでしょうか。


出産時の会陰裂傷からの出血や感染で死んでいく母親の多い種も、ヒト以外にいるのでしょうか。





「世界はひろいな」まとめはこちら