記憶についてのあれこれ 24  <化粧について>

世の男性もいろいろと悩みがおありかと思いますが、女性というのは何歳になってもその容姿容色や健康に対する不安を吹き込まれながら人生をすごすのかとつくづく思います。


「『お肌の曲がり角』よりも『筋肉の曲がり角』」で書いたように化粧や肌に関することもそのひとつですね。


<化粧の解禁年齢>


ところで、化粧の解禁年齢のようなものがあるとすればいつなのでしょうか?
最近は子どもたちにも化粧をさせることがあるようでちょっとびっくりしますが、先日の初めて子どもに酒を飲ませることのように、かなり大人の都合によって左右されるものではないかと思います。


子どもにとって(女の子だけとは限らないかもしれません)、化粧をするというのはちょっとドキドキすることでしょう。


自分の記憶をたどると、七五三の時に着物を着て化粧をさせられた時にはなんだか不快な気持ちになったような気がします。ところが小学生高学年頃になると、親が外出している隙に、母親の化粧品をこっそり塗ったことが何度もあります。
高校生になると、「早く卒業して化粧品を買いたい」と思っていました。
高校3年生の卒業まぎわには、化粧品メーカーの美容部員が化粧の講習会を学校で開いていましたが、あれは今もあるのでしょうか?


高校卒業のお祝いに買ってもらったのが、化粧品一式でした。
基礎化粧品からメイク用品まで揃えると結構な額になりますが、「これで晴れて化粧ができる!」となんだか大人になった気分でしたね。


ところが看護学生は通学時は化粧は禁止だったので、その反動で休日にはばっちりメイクでした。
「若い時には素肌で十分にきれいなのに」と言われていても、耳には入らないものです。
今、若い人たちの凝ったメイクをみると、その年齢にしか似合わない化粧の魅力であることもわかるけれど、やはり素肌で十分にきれいなのにもったいないなと思います。


さて、卒業して就職した病院では一転して「出勤する時は化粧をしなさい」と言われました。
マナーというのではなく「働く看護職の顔色が悪く見えれば患者さんが心配します」という理由でした。


ん?なんだか変な理由ですよね?
不規則な勤務体制で顔色が悪くなるのなら、勤務体制や勤務内容のほうに問題があるはずですが。
それに看護学生だってレポートを夜遅くまで書いて、顔色が悪くてもすっぴんで実習をしていたのですから。



出勤して30分もすれば患者さんのケアで走り回って化粧なんて汗に流されてしまいますし、化粧を直す時間もないぐらい動き回るのに、「するべき」といわれればむくむくと反発心がわきあがります。


男性はいいな、化粧をしなくても何も言われなくて。
仕事中に汗をかいたらザバッと洗顔してすっきりできるのにと、女性の化粧が当然である社会への嫌気がでてきたのでした。


一日の大半を化粧をして過ごすようになると、ちょっとした買い物で外に出るのにもすっぴんのままではなんだか「裸で外を歩く」ような気分になるものです。


いったい、真の私はどちらなのか。化粧をしている私なのかしていない私なのか。
何か自分が実像と虚像で分裂していくかのように感じました。


<化粧をしない社会がたくさんある>


20代半ばで暮らした東南アジアの国ではもちろんメイク用品もあるのですが、周囲の人たちは日常的にはほとんど化粧をしていませんでした。たまに口紅をつけるぐらいでしょうか。
冠婚葬祭、日常ともにほぼ素顔でした。


難民キャンプで働いている外国人スタッフも、化粧をしたところをみたことがほとんどありませんでした。


でもみなきれいだなと感じました。
しみもそばかすもあります。また黄色人種に出やすい肝斑も暑い国のほうが出やすいのか目立つ人もけっこういましたが、みな化粧で隠したりせずそのままですが、気にしていないし気にならない社会のような印象でした。


一時帰国で日本に戻ると、化粧をしていない人を探すほうが大変なくらい、しかもかなり濃い化粧の人が多いことに圧倒されていました。


肝斑に限らず、日本だったらwikipediaの引用先に書かれている「洗顔やスキンケア、マッサージなどで顔をゴシゴシしないように注意したほうがよい」の真逆のことが情報としてあふれているのではないかと思います。



<不安が根源にあるのではないか>



近所にしみなどにも力を入れている皮膚科クリニックがあるのですが、そこでは皮膚に負担をかけないことがスキンケアだという方針のようでした。
化粧品も肌に負担をかけるので、清潔と保湿が基本というようなことが書かれていました。


それに比べて、実際には「お肌の曲がり角」だからしわを増やさないように、シミをつくらないようになど不安にさせて、必要以上の「スキンケア」が宣伝されてさまざまな商品が売られています。


いつまでも20代どころか赤ちゃんのようなお肌をイメージして、周囲にいる中高年の人のようにはなりたくないという不安が、化粧品でお肌の手入れをしなければいけないと思わせているのかもしれません。



あるいは「素顔のままでは社会人として認められない(という思い込み)」に対する不安でしょうか。
もしかすると遠回り以上の道に入り込ませているのではないかと思ってしまうのです。


この化粧品についてどう考えるかも、案外ニセ科学的なことへの試金石のような気がします。


あ、今日の記事は産後ケアに一見関係なさそうですがあとでつながっていくと思います。





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