シシトウは天候がうまくいけば野菜になり、高温や乾燥の日が多ければ香辛料のような辛さになってしまう、栽培される方々には賭けのような作物なのですね。
以前、野菜と果物の境界線を考えましたが、野菜と香辛料の間も明確ではないものがたくさんあるのかもしれません。
<バジルミント>
こちらの記事の<エスニック料理が好き>に書いたように、1980年代半ば、日本ではまだ東南アジアの料理を食べる機会がなかった頃に、ベトナム料理に出会いました。
難民キャンプ内のベトナム難民の方のお店で、朝ご飯にフォーを食べてから出勤するという優雅な生活をしていました。
フォーには必ず山盛りの生のもやしとハーブ、そしてかぼすに似た柑橘類が平皿に添えられてきます。
熱々のスープに、その生のもやしとハーブを入れて食べるのです。
ベトナムの人は「ミント」と呼んでいました。
今でこそ日本にも海外からの数々のハーブが定着しましたが、当時ミントと言われて思いつくのはガムの「ペパーミント」ぐらいでしたから、最初はそれを生で食べる事にびっくりしました。
ペパーミントとは違う種類のミントであることが食べてわかりましたが、その後も「フォーに入っているミント」の正式な名前を知らないままでいました。
wikipediaには「バジル」と書いてありますが、イタリア料理のバジルともあれは違うし・・・と思って調べて、今回初めて知りました。「バジルミント」というのですね。
パクチーもそうですが、おそらく好き嫌いの別れる味ではないかと思います。
好きなひとは、香り付けの香草を超えて、むしゃむしゃと野菜として食べたくなるような葉っぱです。
<「パセリ・セージ・ローズマリー・アンド・タイム」>
サイモン&ガーファンクルの「スカボロフェア」を切ない思いで聞いていたのは、1970年代の小学生の頃でした。
和訳をみても歌の内容がよくわからなかったのは、小学生で背伸びして聞いていたからというのもありますが、「パセリ・セージ・ローズマリー・アンド・タイム」のパセリ以外がわからなかったこともあるかもしれません。
あ、でもwikipediaの「スカボロフェア」を読むと、中世のイギリスのバラードからきた歌のようですね。
「"parsely,sage,rosemary and thyme"の繰り返しは現代人にはよく理解できないが、象徴的意味に満ちている」
そりゃあ、小学生だった私が理解できないはずですね。
さて、当時パセリは普通に出回っていましたが、それ以外の香辛料は見た事もありませんでした。
ちょっとおしゃれな香辛料として手に入ったのは、粒状の黒こしょう・白こしょう、そしてローリエの葉ぐらいでしょうか。
胡椒と言えば卓上の粉末のものしかなかった時代から、粒状の胡椒を買い、ペッパーミルで挽くことがおしゃれに紹介されだした時代でした。
「セージ・ローズマリー・タイム」を料理に使うところを初めて見たのは、アイルランド系の友人とルームシェアをした時でした。
今でこそ、日本でも普通に売られている乾燥させたそれらの香辛料を本国から持って来て、野菜や肉料理に使っていました。
「本当は生の方がいい味だけど、ここでは乾燥したものでもしかたがないね」と言いながら。
ローズマリーなんて乾燥した1cmほどの1本でもそうとう味が強いのに、生はどんな感じなのだろうと当時は不思議に思っていました。
そのうちに日本でも生のバジルなどが簡単に手に入るようになりました。
日本のシソのような感じですね。
くせになるとたくさん食べたくなる野菜のような香辛料というところかもしれません。
「境界線のあれこれ」まとめはこちら。