境界線のあれこれ 55 <反動から反動へ・・・服の流行>

人生半世紀ぐらい生きると、時代というのは前に進んでいるというよりは、反動から反動へと動いている部分も多いとの思うことがいろいろとあります。


たとえば最近、街を歩く若い女性の服装をみると、あれは私たちが10代から20代頃に「新しい」と取り入れていたデザインに似ているなと感じることがあります。
ですからむしろ古くさく感じて、ちょっとあの青春時代の気恥ずかしさが蘇ってきます。


モボ・モガという言葉を聞いたのは1980年代初めの頃で、MOGAというDCブランドの名前の由来になったのだろうと思いました。


1980年代初頭は経済的な豊かさを手に入れて、より自由で自分らしいことを求めていた時代で、人とは違う服装もまたそれを実現させてくれる手段だったのだと思います。
竹の子族のような人目を気にしない服装や路上で踊ることもまた、当時はそれまでの社会の規制から解放された証だったのかもしれません。


ファッションデザインの歴史という専門知識はないのであくまでも印象なのですが、1990年代に入ると服装もカチッとした1960年代から70代ぐらいのデザインが戻って来たように感じますし、1980年代半ばから広がりだしたユニクロ無印良品のようにあえて同じシンプルなデザインがむしろ新しく感じさせる服装として取り入れられた印象です。


そして今、あの1980年代初めと似たような感じの服装や行動を見かけるのですが、時代は正反対で先の見えない鬱屈した気持ちから解放されたいというあたりなのでしょうか。


きっと次は、コンサバ的なカチッとしたデザインが復活するのではないかという予感がしますが。


こうして服の流行をみても20年から二十数年で一回りしていくだけでなく、時代の雰囲気は反動から反動を繰り返して行くのかもしれません。


あと四半世紀生きたら、もう一度「あれはモボモガを意識した服装」の時代がくるかもしれません。
まあ私は80代近くで、生きているかどうかわからないですれど。





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