思い込みと妄想 14 <コカ・コーラを飲むと骨が溶ける?>

Wikipediaコカ・コーラに「コカ・コーラに関する都市伝説」があります。

謎を抱えたままと大衆に迎合されたコカ・コーラは、その謎に関する都市伝説も数多く生んだ。民間伝承(フォークロア)とひっかけて、コカ・コーラに関する都市伝説は諧謔的にコーク・ロアと呼ばれている。


その中の「コカ・コーラには辛口と甘口がある」は、子どもの頃にはよく耳にして私も信じていました。

コカ・コーラのガラス瓶には、側面下部に四角型あるいは丸形のへこみが刻印されていた。刻印は四角型の瓶は炭酸の強い「辛口」であり、刻印が丸型の瓶は炭酸の弱い「甘口」であるとする都市伝説がかつて存在した。

1970年代はまだ瓶入りのものが主流だったので、飲む前にみな、瓶を見てそんなことを話していた記憶があります。そして味がやはり「辛口」「甘口」だったように感じていました。
缶入りのコーラが主流になって、いつのまにか忘れていました。


なんだ、製造工場への回収のためだったのですね。


<「コカ・コーラを飲むと骨が溶ける」>


コカ・コーラは「人工的な味」で「不健康な飲み物」という印象がなんとなくあって、この「骨が溶ける」話も、そんなはずはないけれどと思いつつ否定もしきれずに、コーラを飲むたびに心によぎりました。


東南アジアから帰国して、コカ・コーラ中毒のようになった私は仕事場でもコーラを飲んでいました。


その時に、40代の先輩看護師に「コーラを飲むと骨が溶けるわよ」といわれました。
なんでも息子さんが実際に魚の骨をコーラにつけて骨が溶ける実験をしたとのことでした。


実験で検証したという「科学っぽい」説得に、私は「飲むのと骨を直接つけるのは違うし・・・」と思いつつ、ちょっとびびりました。
それでも私の心の中では、その魚の骨の検証はそのまま当てはまらないはずと思いました。
あり得ないけれどありそうに見える不安というものは、人の目を暗くするものだと、今考えるとこっけいなのですが。


その先輩は「それはどうしてそうするの?根拠は?」といつも仕事上では慎重な方でしたが、それ以降は少しその先輩の判断も鵜呑みにしないようにしようと思ったのでした。


さて、リンク先の「コーク・ロア」では以下のように説明されています。

発生時期などは不明であるが、1970年代から1980年代前半頃にはよく言われた話しである。このことについて、当時コカ・コーラ社ではパンフレットを作成し、「確かに魚の骨をつけておくと溶けてしまう」ことを認めた。だが、魚の骨は人間の骨と成分が違うことと、通常人に飲用されたコカ・コーラは消化管を経由し、骨に触れる頃には別な成分に変質しているため、コカ・コーラをのみ続けると骨がもろくなったり、溶けることはないと説明していた。


私が先輩看護師に言われたのは1980年代後半でした。


一度広まったデマというのは、荒唐無稽な話なのにそれを打ち消す事が難しいですね。
その会社が正式に否定する文書を出しても、生き残り続けるのですから。




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