ノビル

春爛漫の風景から新緑へ1週間の変化は大きいものでしたが、先日10日ぶりに父の面会に行ったら、すっかり初夏を思わせる風景に変わっていました。


「初旬中旬」の10日ほどの期間を表現する「旬」という単位も、もしかしたら昔の人の観察の積み重ねで、10日間とは自然の変化のある程度の目安になることから来たのかもしれないとひらめいたのですが、検索した限りでは「旬(じゅん)」の深い意味はわかりませんでした。


さて、この10日間でツツジなど鮮やかな花はありますが全体に花が少なくなり、緑が目立つようになりました。


とくに土手や空き地に、勢いよく緑の草が目立っていました。
10日前はスギナしか目立たなかったのですが、それを越えてぐんぐんと雑草が生え始めています。


この時期にその緑の中にぽつりと咲いているノビルの白い花が可憐で、楽しみにしている花のひとつです。


ノビルの地下茎をネギのように食べることは知っていましたが、その花がこんなに可愛らしいものであるのに気づいたのも10年ほど前でした。
通勤途中にある土手に、四季折々いろいろな草花が咲くことに気づいて下を向いて歩くようになり、この線香花火のような花を見つけたのでした。


これがノビルの花なのかと知っただけで満足したままになっていましたが、今回、ノビルで検索したら本当に知らないことだらけでした。


まず花の根元に種のように茶色い部分がありますが、「季節の花300」を読むと「花の一部または全部がむかご(養分をためるところ)になる」とあります。
あれもむかごなのですね。


ところでWikipediaノビルの<特徴>にはこう書かれています。

葉は線形で20〜30cmのものを数本出す。雑草にまぎれて花茎が伸びてきてはじめて気づくことが多いが、葉の表面に白く粉を吹くので慣れると見つけやすい。


へえー。私もいつもこの時期に、ネギのように細い茎がすっと出たところでノビルに気づきます。
けっこう通勤途中に変化を見つようとその土手を目を凝らしながら歩いているのですが、つくしと同じく、「また今年もやられた」という感じです。


きっと葉の表面の白い粉に気づく人は、山菜としてのノビルを楽しみに待っていたのかもしれませんね。


もうひとつ、名前の由来が「生のネギのようにひりひりと辛いことから『ひる』の名前がついた」(Wikipedia)ということもは初めて知りました。
「伸びる」が由来ではないかと勝手に想像していました。


その辛みについてWikipediaの<利用>の中で、「収穫後、時間が経つとストレスで辛味が強くなり香りも悪くなる」と説明されています。
ノビルもそれを食べる方もいろいろ大変なのですね。


以前、知人からエシャロットのようだからと食べさせてもらったのですが、あまり好みではありませんでした。
「美味しい」という記憶があれば、きっと毎年この時期になると目を凝らして葉の白い粉を探していたことでしょう。


やっぱりノビルは白い可憐な花を愛でるのが、私には一番です。