助産師の応召義務について考える 4 <時間外呼び出しと応召義務>

2008年と2014年の助産師業務要覧では、今まで考えたこともないことが助産師の応召義務の解釈として書かれていました。


それは私のように病院・診療所に勤務する助産師の、時間外の勤務や呼び出しです。


2008年の助産師業務要覧には以下のように書かれています。

病院や診療所に勤務する助産師の場合の応召義務については、使用者との労働契約やともに働いている医師・同僚助産師の応召義務との関係がある。一般に勤務時間外まで応召義務と求められることは少ない。

2014年ではただ「施設勤務助産師の業務は雇用契約範囲内における業務」になっています。


<オンコールとは異なる応召義務>


分娩施設のHPをみると、特に診療所などの小規模施設では「オンコール(呼び出し)」がある施設もあります。
お産や帝王切開があってスタッフがもうひとり必要な時に、夜間や休日に呼び出される体制です。


ただし、こうしたオンコールは手術室や内視鏡室などの看護職でもありますから、これは「助産師の応召義務」とも違うはずです。
そしてオンコール制の場合には、その日のオンコール当番があらかじめ決められています。


10年以上前に、総合病院から小規模の産科診療所に移って驚いたのが、このオンコール制でもない「突然の呼び出し」でした。
お産というのは不思議と重なるので、小さな診療所でも3件ぐらい重なることがあります。
休日でも夜勤入り前でも、突然電話がかかってきて出勤することがありました。


雇用条件にもありませんが、でもスタッフ同士はお互い様ですし、とにかく重なった分娩や帝王切開を事故もなく終了させるために駆けつけます。


ただ、これを「助産師の応召義務」と解釈するのかといえば、やはり違うような気がします。
看護師さんたちも突然呼び出されていますから。


そしてこの呼び出しを応召義務と呼ぶのかは別として、「一般に勤務時間外まで(応召義務を)求められることは少ない」は本当にそうでしょうか?


日本の分娩の半数を担っている小規模産科診療所の、助産師・看護師の勤務状況についての全体調査さえないのではないかと思いますが、けっこう、勤務助産師や看護師の時間外の突然の呼び出しや長時間の連続勤務で支えられ来たのではないかと思います。


こうした産科施設での突然の呼び出しや超過勤務まで、「応召義務」として拡大解釈してはいけないのではないかと思います。
それはきちんと労働環境を調査して、適切な人員を配置することが先にくるべきではないでしょうか。


助産師の応召義務ってなんでしょうか。