野茨

10年ぐらい前に初めて競泳大会を観戦し始めた頃は、2月の日本選手権短水路(25m)と4月の長水路での日本選手権が主な大会でした。


何年か前から、この5月にJapan Openが開催されるようになりました。


冬の凍てつく道、そして次は満開の桜並木の中を観戦に通うことに、さらに緑いっぱいのさわやかな季節にもまた辰巳に通うスケジュールが増えました。


この時期に有楽町線辰巳駅から辰巳緑道公園内を歩いてプールに向かう途中、ふとよい香りがします。
懐かしさを感じる香りとともに、シューベルトの「野バラ」の歌が思い出されて、周りに人がいなければつい歌いながら歩いています。


この季節は気温が高くなるとともに少し香りがある花が増えて、とくにこういう白い花が緑の木々に映えて似合いますね。
初夏の風景です。


子どもの頃から身近にいつもある花でしたが、この花について名前しか知らなかったと思い検索してみましたが、「野バラ」では歌についてしかでてきません。


なんと野茨(のいばら)が正しい名称だったのですか。
ずっと野バラだと思っていました。


Wikipedia野茨を読むと、その実は「英実(エイジツ)」として日本薬局方にも載っているようです。
昔から薬としても身近にあった植物なのですね。
しかも万葉集にも歌われているようです。
なんとなく西洋っぽいイメージがあって、明治時代以降に日本に広がったのではないかと思っていました。


薬草として重宝された反面、「道ばたにも多く出現し、刺が多いので雑草としては嫌われる。刈り取っても根元から萌芽し、根絶は難しい」と書かれていて、人間って勝手だよねと野茨の味方をしたくなりますね。


Wikipediaの「分布と生育環境」にはこんな説明があります。

野原や草原、道端などに生え、森林に出ることはあまり見ない。河川敷など、撹乱(かくらん)の多い場所によく生え、刈り込まれてもよく萌芽する、雑草的な性格が強い。

まさに雑草の特徴ですね。


辰巳緑道公園内の野茨は、植え込まれたように整然と生えているのですが、あれは植えられたものなのでしょうか、それとも勝手に生えたのでしょうか。


辰巳国際プールと辰巳の森海浜公園は1993年にできたようですが、この辰巳緑道公園も同じ頃に作られたのかと思ったら、もっと前の1975年なのですね。


40年前、このあたりにどのような植物が植えられ、あるいはどこからか移動して来て、どのように変化して来たのだろう。
ちょっと気になっています。