水のあれこれ 21 <鳥肌がたつ>

今回の世界水泳は、鳥肌がたつ場面がたくさんありました。
といっても、まだ録画を全部見きれていないのですが。


前回のバルセロナ大会で1500m自由形で世界記録を出して優勝したレデッキー選手が、またさらに大幅に記録を伸ばして優勝しましたが、その約15分のレースはずっと鳥肌がたちっぱなしでした。


2位の選手とは体二つ分ぐらい引き離してのレースも見応えがあったのですが、私が鳥肌がたったのは水中映像でした。
ターンから浮き上がって数メートルぐらいはキックで加速するのですが、そのあとはほとんど2ビートキックでした。
他の選手がキックで進もうとしているのに、レデッキー選手は時々軽く「ポン、ポン」と小さなキックを入れるだけで他の選手よりもスーッと前に進んでいきます。


そして自ら出した前回の世界記録を常に上回るペースで泳ぎ続け、最後の25mで一気にキックで加速してさらに世界記録を更新したのでした。


水中映像を見ていると、体幹がとても安定していて水の抵抗をうまくかわしているのかもしれないと思いました。
こちらの記事で紹介した野口智博氏の本にも「水の抵抗を少なくする姿勢と動作」(p.20)に以下のように書かれています。

 水の中を高速で移動できる船や魚と比べ、人間は水の抵抗を受けやすく、水中移動のときには非常に都合の悪い形をしています。しかし、その都合が悪いことが幸いしているからこそ、今でも世界記録はどんどん更新されています。陸上競技などと比べると、記録の変遷に大きな違いがありますね。言うなれば、水泳は誰にとっても伸びる余地をたくさん残したスポーツなのです。
 その記録を伸ばすカギとなるのが、水の抵抗とどうむきあうか?という点です。


世界記録を連発しているトップスイマーと比べるのはおこがましいのですが、レデッキー選手の水中映像を見て鳥肌がたったのは、私自身が「今日はすごく滑らかな泳ぎだった」と満足がいったときの感触が蘇ってきたからかもしれません。



<水の抵抗を少なくする>


時間があれば泳ぎに行くのですが、ここ数年は徹夜の夜勤明けでもプールへ行っています。
ただし疲労が強い時に泳ぐのは心臓に負担がかかり危険なことでもありますから、水の中でストレッチをするような感覚でゆるゆると泳いでいます。


自分では元気なつもりなのですが、夜勤明けの時に一番感じるのがおなかに力が入らない、つまり体幹が安定しないことです。
いつもと同じように泳いでいるつもりでも、なにかしっくりこなくて手足の動きがバラバラになってしまうのです。


十分に睡眠をとった日であれば、プールに入った時点からうまく水の抵抗を少なくするような体幹の動きができてスーッと前に進みます。


体幹というのはこれほど泳ぎに影響があるものなのかと、夜勤明けで泳ぐようになって初めて感じるようになりました。


野口智博氏の本では「推進力のポイント」として大きく2種類の抵抗について以下のように書かれています。

圧力抵抗
●圧力抵抗を小さくするには水面に対して水平に近い姿勢をとる。
●水平姿勢を保つには浮心と重心の感覚を小さくする。
●胸を水中に滑り込ませるような感覚を持つと足が沈みにくくなる。

造波抵抗
●入水時などで無駄な波をたてない。
●うねり動作で抵抗を少なくすることができる。

この5つのポイントに大事なのが体幹の筋力や動かし方なのだろうと思います。


そして手足のうごきがかみ合い気持ちが安定し、さまざまな条件が整うと空中を飛んでいるような泳ぎになるのかもしれません。


レデッキー選手の泳ぎを見ていると、私まで空中を飛んでいるような感覚になって鳥肌がたったのでした。





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