鬼グルミ

銀杏のことを考えると、連想されるのが鬼グルミです。


先日も父の面会の車窓から、少し色づき始めた鬼グルミの木を何本も見かけました。


小学生の頃は裏山を拠点にして遊び回ったことはこちらの記事に書きましたが、秋になるとこの鬼グルミがあちこちで実っていて、私たち小学生のおやつになっていました。


誰に教わったのか、鬼グルミを地面に埋めて果皮が熟してとれやすくなることを知っていました。
土に埋めて、何日間かするとその「秘密基地」に戻って中の硬い部分(「内果皮」というのですね)を取り出してきれいにしたあと、金づちで割って中の実を食べていました。


「何日ぐらい土に埋めておけば食べられる」ことをどうやって知ったのかも記憶にありません。


そして「何日間」埋めればよいのかもすっかり忘れてしまったので、鬼グルミの食べ方を検索してみたのですが、殻がとても硬いのでその割り方について書かれたものはあるのですが、その前段階の処理方法については見つかりませんでした。


小学生の頃は、あまり割り方に難渋した記憶はなくて、石や金づちでガンガンと叩いて割っていました。
その実のおいしさの記憶が強くて、割る大変さは忘れてしまったのかもしれません。


その後、アメリカ産の大きなクルミが出回るようになりました。
それはそれでおいしかったのですが、鬼グルミのほうがもっとおいしかった記憶があるのは単に懐かしさのためかと思ったのですが、脂肪分が多いという記述も目にしたので、そのあたりかもしれませんね。
あるいはまだ、サラダオイルが高い時代で、脂肪分のある食べものに飢えていたからかも。


冒頭でリンクしたサイトには、鬼グルミの木についてこんなことが書かれています。

クルミの仲間の材は、固く滑らかで狂いが少ない。どこの国でも、昔から銃床として使われていたらしい。
かつては平時に植樹され、戦争になると伐られるという悲しい歴史を繰り返した。


へえーー。
もしかしたら、私たちに鬼グルミの食べ方を伝えた世代には、当然の知識だったのかもしれません。
あの太平洋戦争からわずか20年ほどでしたからね。
でも私たちはそれを知らなくて済んだ、戦争を知らない子どもたちですから。


これから鬼グルミを見るとこの「戦争になると伐られる」ことを思い出すのも切ないなあと思ったのですが、Wikipediaの鬼グルミにこんなことが書かれていました。

殻が非常に硬いこと、破片が鋭利である点が東洋ゴムトーヨータイヤ)に評価されて、スタッドレスタイヤ(「ガリット」シリーズ)の素材として用いられるようになった。


へえーへえー。
何だか鬼グルミの「戦争と平和」といった感じですね。