水のあれこれ 27 <年寄りの冷や水・・・でないもの>

先日の記事で引用文の中に「年寄りの冷や水」と書かれていて、そういえば「冷や水」ってなんだと知識があいまいなことに気づきました。


故事ことわざ辞典には「年寄りの冷や水とは、老人が年齢にふさわしくない危険なまねや、出過ぎた振る舞いをすること」とあって、「注釈」にはこんな説明があります。

年寄りが強がって、冷たい水を浴びたり飲んだりして、無理をする言動をいう。自分の年齢も考えずに無茶をすることは健康によくないことから、それを自虐的に言ったり周りがたしなめたりするときに使う。

「類義」には「老いの木登り/ずくなしの冷や水/年寄りの力自慢/年寄りの夜歩き」とあります。


いやあ、20年前のプールでは50代過ぎの女性がガンガン泳いでいる姿はなかったので、「冷たい水を浴びたり」については「あ〜耳が痛い」という感じですね。
老いの木登りならぬ老いの水泳ですか。


でも「冷たい水を飲んだり」はどこからきたのでしょうか?


「由来・語源辞典」に説明がありました。

江戸時代、夏になると冷たい湧き水を桶にくんで、「ひゃっこい、ひゃっこい」と呼びながら冷や水売りが市中を売り歩いていた。老人がその冷たい水を飲んでお腹をこわすなどしたことから出た言葉。


江戸時代の「老人」っていくつぐらいからを指していたのでしょうか。


<年寄りの強がり>



最近ではプールでも60代、70代、時に80代以上と思われる年齢層が本当に増えて、時間帯によっては50代の私は「若造」になっていることがあります。


いやはや、「年寄りの冷や水」というニュアンスが通じなくなってきたのかもしれませんね。


なかなかその年代層の人たちは、相対的あるいは絶対的に速いのか遅いのかといった周囲を見ることができないことと、特に女性は2〜3人とかグループで行動するので、ちょっと泳ぎにくいなあと感じます。


でも概ね、その年代の女性というのは練習熱心な印象があります。
水泳教室できちんと基礎から習っているのでフォームもきれいですし、繰り返し根気よく練習しているようです。


反対にその年代の男性のほうが、「昔とった杵柄」という感じでがむしゃらにキックして、自己流で速く泳ごうとしている人が多い印象です。
あくまでも印象ですけれど。
そして他の人が追い越そうとすると、急にスピードをあげて「負けない」という闘志をむき出しにする感じです。


見た目の年齢というより、ある年代層になると男女に関係なく「強がる」行動が「年寄りの冷や水」っぽくなるのかもしれません。


<100歳で1500m完泳>


90年代にきんさんぎんさんが話題になった頃の100歳のイメージは、生きて座っているだけですごいという感じでした。


その後、100歳になってもなお鉄棒をしたり絵を描いたり、スーパーな高齢者が話題になっています。


今年の春にも、「長岡三重子さん(100)、水泳1500mで世界記録【1時間15分台】海外メデイアも賞賛」というニュースがありました。


こちらの記事を読むと、背泳ぎで挑戦したようです。
ちなみに「自由形」というのはどの泳法でもよいのですが、一般的にはクロールが速く泳げるので、通常は「自由形=クロール」のようです。


私も一番の得意が背泳ぎですが、タイムはともかく100歳で1時間も背泳ぎで泳ぎ続けるのは本当にすごいと思います。



冒頭の記事では、「長岡さんは、痛めた膝のリハビリのために、80歳で水泳を始めた」とあります。
そしてご長男の話が紹介されています。ご長男ももう70代から80代でしょうね、きっと。

母があの年で、挑戦をし、目標を達成しているのは、すばらしいことです。母は今でも頭を使って、ベストの泳ぎ方を見つけようとしています。記録に挑戦するために、泳ぎのフォームを変える事さえ試しています。


そう自らの泳ぎに集中しているトップスイマーに通じるものがあるような感じですね。


ちなみにその映像がありました。
抵抗の少ないきれいな泳ぎ方だと思います。



その映像で表彰式のバックに流れている音楽が、日本選手権などの競泳大会の表彰式でおなじみの水夢です。
長岡さんの挑戦にふさわしい音楽だと思いました。




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