小金がまわる 6 <花を買わなくなった>

隣の駅前の花屋さんがいつの間にか閉店していました。
買うことはなかったのですが、通勤の車窓から見える華やかな店頭の色をいつも楽しんでいました。


ほとんど毎日のように見ていたはずなのに、たしか先月ぐらいまではあったはずなのに、別のお店に変わっていたことに気づかなかったことにちょっとショックでした。


私の住んでいるところも、駅周辺には2軒の花屋さんがありましたが、数年前に1軒が閉店しました。
気軽に買えそうな昔ながらのお店で、でもちょっとおしゃれなアレンジをしてくれそうなお店だったので、もっと利用しておけばつぶれなかったのかもしれないなどと考えていました。


10年ぐらい前までは、よく花を家に飾っていました。


店先にあるちょっと不揃いな花を束にしたものなら、1000円ぐらいでもけっこう楽しめました。
特にフリージアが出ていると、うきうきとして買って帰りました。


あるいはちょっと気に入った花を1〜2本と買って帰り、小さな花瓶に入れるだけでも家の中はぐっと雰囲気が変わりました。
月に数千円ぐらい、切花に使うこともありました。


いつのまにか、いろいろな意味で生活に余裕がなくなってしまって、花を買うことがほとんどなくなりました。


全国でも花屋さんは減っているのだろうかと、ちょっと検索してみたのですが、「花き販売店が担う 日本の花き産業の行方」という岐阜大学の先生の講演資料らしいものがあって、鮮魚店との比較など、興味深く読みました。


それを読むと、2010年までの統計では「家庭の総消費額支出に対する魚介類・調理品・切花比率の相違」や「鮮魚店生花店・園芸店の店舗数の推移」では切り花の支出や店舗数は思っていたほどの減少ではないのですが、1992年以降、全体の販売額が激減していて1970年代ぐらいまで落ちているようなグラフがありました。



駅周辺にはチェーン店の生花店もけっこう見かけるし、そこでは1000円以内で買える小さなブーケもあるのですが、花を買うのは人にプレゼントする時だけになってしまいました。


あらかじめアレンジメントした花束ではなく、あの店頭で好きなように、そして手頃な価格で買えなくなったこともひとつ。
そして、花を持って電車に乗るのは荷物になるので、家につく手前にあるお店で買うと便利だったこともひとつ。


でも、一番大きな理由は、やはり経済的になんとなく余裕がなくなったというあたりだと感じています。


1989年に消費税が3%になった頃はまだそれほど消費税の重さを感じませんでしたが、5%になった1997年以降は大好きな本や、衣類など日常必需品でもやや額の高いものは重税感が強くなり、少しでも倹約という気持ちが強くなりました。


2014年からの8%は、本当に大きい額になりました。
日々の食料品を買うだけでも1回に百数十円とか200円近い消費税ですから、それまで買っていたものもなんとなく一つ減らそうという気分になりますね。
家計簿で消費税をつけていますが、毎月、所得税に近いぐらいの消費税になっています。



抱えるほどの花束はいらないけれど、季節の切花を家に買って帰ろうという気持ちの余裕が持てるような生活のほうが、社会の中で小金がまわるのではないかと思います。
いえ、日本全体の切花の売り上げ激減と消費税が関係あるかどうかまでは、経済はど素人なのでわからないのですけれど。


街の小さな花屋さんは、これからますます消えてしまうのでしょうか。





「小金がまわる」まとめはこちら