10年ひとむかし 6 <近未来の交通手段>

父の面会に通うようになって、その地域に最近、小型のバスが導入されたことに先日気づきました。


こちらの記事に書いたように、通勤通学の時間帯以外は、大きなバスに数人乗るかどうかぐらいですから、採算がとれないのではないかとこちらが心配になるぐらいです。


ただ週末になると、観光地ということもあってどの時間帯も路線バスでもけっこう人が乗るので、バスを小型化するわけにもいかないのかもしれません。


こうした小型バスを初めて見たのは、1995年の武蔵野市のムーバスでした。
住宅街をまわって小回りが利くので、高齢化社会の対策として便利そうと思いました。


あれから20年たって、当時は珍しかったこうしたミニバスをあちこちで見かけるようになりました。
私自身も月に何度か利用していますが、100円という安さと、駅と駅の中間をつないでくれることで時間を節約できることで重宝しています。


時間帯にもよりますが、けっこう利用者がある印象です。
狭い車内なので満員になるとぎゅうぎゅう詰めですが、かえってお互いに譲り合う雰囲気があってなごむこともしばしばです。


ただ、運転手さんは安全運転をしてくださっているのですが、狭い路地を運行することもあるからか、小型車だからなのか、大型車に比べて揺れが大きいように感じます。高齢の方がけっこう利用しているのですが、私でも立ってつかまっているとかなり力を必要とする場所があります。


でも、是非是非存続して欲しいなと思っています。


<「交通弱者」になっていく>


こちらの記事の<母の運転免許証>に書いたように、50代半ばで運転を始めた母は、その後買い物や通院など20年以上、その運転免許証に助けられました。
日本の多くの地域がそうであるように、車がなければ生活ができない地域です。


数年前、まだ母が運転をしていた頃、私が実家に帰る時には駅まで迎えに来てくれていました。


ある日、いつもと母の様子が違いました。ほとんどしゃべらず不機嫌そうでした。
しばらく走り出してから、「最近、動悸が強くてすごく疲れるの」と話し始めました。


いやあ、こちらの心臓が止まりそうになって、「お母さん、停まって。きっと心臓に負担があって調子が悪いのだから運転はやめて、タクシーで今から病院へ行こうよ」と説得したのですが、「大丈夫」と言い張ってブレーキをかけようとしませんでした。


なんとか無事に家に着きましたが、「寝れば元気になるから」と病院にも行こうとしません。
その日は私も帰らなければいけなかったので、「明日は絶対に病院へ行ってね。でも絶対に自分で運転はしないでね。タクシーを使ってね」とタクシー代も置いて帰りました。


翌日、連絡があって「大きな病院で診てもらって、手術が必要らしい」ということに。



「心臓の手術が終わるまでは絶対に運転禁止!タクシー代は気にしなくていいから」と伝えてあったのですが、内服薬で症状が軽減していたこともあって運転を続けていたようです。


ずっと心配していた、「両親が高齢になった時に、交通手段はどうしたらよいか」が現実になっていったのでした。


こうした小型のバスを利用するたびに、自分もまた交通弱者になったときにどんな交通手段がいいのかなあと、近い将来をいろいろと考えています。





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