きいろい月さんのコメントからしばらく、初乳や生理的体重減少について書いてみました。
新生児の生理的体重減少期や、それ以降、しだいに体重が増加し始める時期を見ていて感じるのが、「計算通りにはいかないのはなぜだろう」ということです。
いえ、単に私が数字が苦手という意味ではなく、この出生直後から数日ぐらいは、摂取量と排泄量のバランスが合わないのではないかと感じることがしばしばあるのです。
わかりにくい話ですね。
たとえば、時々、胎便やおしっこを初日から何度もして、でもおっぱいも哺乳瓶でもほとんど飲まなかったのに、翌日の体重減少が意外なほど少ない場合があるのです。
出生直後の体重計測が不正確だったかもしれないと、出生直後の体重計測を必ず2回以上するようにしてからも、やはりほとんど減らない赤ちゃんがいます。
「霞を食べて生きているのだろうか」と、まるで仙人を前にしたような気分です。
<新生児の排泄量に関するデーターがない>
いつ頃からか、私自身はこちらの記事の冒頭に書いたように、新生児の哺乳行動を「母乳やミルクを飲む」ことよりは、「飲みながら腸の動きを待ったり排泄をしている、授乳・消化・吸収・排泄の統合的な行動」ではないかと思って観察をしています。
ですから新生児の便や尿について書かれているような本はすぐに購入するようにしているのですが、これががっかりするほどないのです。
助産師になってもうじき30年になるというのに、新生児の排泄に関してはほとんど基礎データーといえるものがありません。
もちろん、胎便そのものや胎内での様子は新たな情報が増えています。
でも相変わらず、「初回排便は24時間以内にある」程度の記述で、その量や回数、性状の多様性がわかるようなデーターがないのです。
出生当日から翌日までの24時間くらいで、これでもかというほど毎回もりもりと胎便を出す新生児もいれば、ポチッと肛門のあたりにつく程度で少ない赤ちゃんもいます。
出生直後から1〜2日は尿量が少ないことも多いのですが、それでもずっしりと出す新生児もいます。
トータルで、新生児はどれくらいの胎便や尿を出すのでしょうか。
以前、勤務していた総合病院の産科では、出生直後に多呼吸や低血糖、感染症疑いで小児科入院扱いになる新生児にも対応していました。
こういう状況では、オムツ交換の時に必ず排泄量を測定します。
その経験があるので、今もオムツ交換をした時の手ごたえておおまかな量がわかります。
あまり新生児のうんちやおしっこを見たことがない方に、あの量をどう説明できるかと考えてみました。
給食用の小袋に入ったジャムは15g、納豆についてくるたれは約5g、辛子は05gぐらいのようです。
食べものに例えることをお許しください。新生児ですからね。
もりもりと出た胎便は30〜50gぐらいのこともあります。
お尻にちょっとだけついたうんちは、1gぐらいでしょうか。
一晩中、何度も、総量は150g以上はあったのではないかと思う胎便を出し、腸蠕動のたびに初期嘔吐もあり、それ以外に不感蒸泄も含めると、200g近い水分の喪失があったのではないかと思われる赤ちゃんがいます。
ところが、直母授乳や哺乳瓶での経口からの摂取量は40ml程度だったのに、体重減少は80gぐらいしかないことがあります。
どうやっても計算があわないのです。
200−40=160
ですよね?
計算上では少なくともそのくらいは減っているはずなのに。
まあ、いい加減な計算なのですが、それほど新生児の生理的体重減少とin-outのバランスに関してはまだまだ観察もあまりされていないし、データーもないのです。
ですから、新生児は霞を食べて体重減少のロスを抑えているに違いない。
そういう妄想を抱いています。
「数字のあれこれ」まとめはこちら。