トリニティ・アイリッシュ・ダンス

待ちに待った、トリニティ・アイリッシュ・ダンスの2年ぶりの日本公演に行きました。
今もまだ、タップの音やケルト音楽が何度も静かに波のように耳に蘇ってきます。


満員の会場は開幕と同時に息をのんで舞台に引き込まれていましたが、じきにダンスに合わせて手拍子が自然と起こり始めて、一体感に包まれました。
海外公演のように「ヒューッ」といった口笛(ウルフホイッスルというのですね)はないので、会場が盛り上がっていることがうまく伝わるのだろうかというのは杞憂で、日本の場合、拍手や手拍子でこちらの気持ちを伝えている感じです。
そしてちょっとコミカルなダンスの時にも自然と笑いが出ていました。
ああ、こんなにアイリッシュダンスが好きな人たちが日本にいるのだなあと。


13の作品では、日本公演のポスターにあるような華やかな赤の衣装やスパンコールがキラキラと輝いた衣装もあるのですが、大半は黒を基調にしたシンプルなものです。
そして舞台装置もほとんどなく、バックの色が時々変化する程度で、バンドが影絵のように浮かんでいるものです。


振り付けも、最近の音楽番組で見るようなアクロバティックなものとも違い、一見、それほど凝った動きでもないように見えます。
でも、「腕の角度をこう曲げているだけで、人間の体はなんと美しくみえるのだろう」とひきつけられるのです。


ダンサーの体格も様々で、動きも時に多少ずれることはあるのですが、ひとりひとりの違いも生かした全体の美しい動きのようなものに、心が打たれます。
うまく表現できないのですが。


公演が終わると、監督からダンサーまで皆が玄関で見送ってくれます。


激しいダンスでまだ汗が滴り落ちています。
舞台では大きく細身に見えた彼女たちですが、近くで見るとそれほど大きくはなく、でも筋肉がしっかりとついてがっしりとしています。
その鍛えられた体にまた、惚れ惚れ。


「また日本に来てくださいね」
つい駆け寄って握手をしてもらったのでした。



これから熊本、長崎、福岡、京都と回るようです。
3月に来日公演記者会見のあと熊本を訪れて熊本の美しさに感激していたそうですが、そのあとに地震が起きてしましました。
一旦は中止が決まった熊本公演でしたが、公演が決定したようです。プログラムを見ると、熊本だけ1日に2回の公演スケジュールになっています。


またトリニティ・アイリッシュ・ダンスのfacebookを見ると、今年も「福島県本宮市へ訪問。ワークショップを行い、小田部仮設住宅へ訪問させていただきました」とあり、こんなことが書かれています。

緑がたくさんある中で広々とした練習もでき、仮設住宅訪問では浪江町の方々のお話を聞いて、メンバースタッフ一同心より災害の怖さやそれにも負けない心の強さを感じていました。


被災地訪問というパフォーマンスではなく、そこで練習し、生活を共にする。


彼女達の舞台にリアリティを感じるのは、逆境に生まれ逆境に強いダンスだからかもしれないと思いました。




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