食べるということ 11 <体によい食べ方>

「体によい食べ方」というと、「朝ご飯をしっかり食べる」「3食きちんと食べる」とか「バランス良く食べる」といった話が多いのですが、今私が一番欲しいのは「ゆっくり食べる時間」です。
食べる時間そのものは短くても構わないのですが、あれこれと気持ちが追われずに食べる時間です。


30数年、医療関係の仕事をしてきたのですが、体によい食べ方とはほど遠い毎日です。


日勤と夜勤では、食事の時間帯も回数も変わります。
夜勤明けの日は、1日1食ということもあります。


また、職場ではいつも緊張感の中での食事です。
比較的おだやかな日でも、「さあ、今のうちに食事をしておこう」と食べだすとなぜかナースコールや電話が鳴ったり、あるいは預かった赤ちゃんが泣き出して食事が中断です。


忙しい日だと、日勤で昼食どころかお茶も飲めずに動き回っていますし、2交代の16時間の夜勤中に食事を摂れないこともあります。
どんなにバタバタしている状況でも「食べないと持たない」と、かき込むように食べる同僚もいますが、私はあわただしい中では胃が食事を受け付けなくなるので、基本的に職場では食事をするのが苦手です。


また、以前はお弁当を作っていたのですが、結局食べる時間がなかったりするので、最近では食べても食べなくてもよいように長期保存が可能なレトルト食品やカップスープ類にしています。


そして出勤前の食事はがっつりと食べ、疲労困憊して帰宅したら軽い食事だけにする。
そんな生活スタイルになっています。


これで、果たして体によい食事なのかどうか・・・。



全国の医療機関で、しっかりと食事の時間と場所が確保されている施設はどれくらいあるのでしょう。
病棟内の休憩室にいても、ナースコールや電話への対応をしながら食事という施設のほうが多いのではないかと思います。
スタッフが増えないと、実現不可能ですものね。



NHKサラメシを興味深く観ていますが、どの職種でもあわただしい昼食風景の人も多いですね。


2時間ぐらいゆっくりできる食事と休憩時間があって、お昼ご飯に手頃な価格でボリュームもあっておいしい食事ができるような生活だといいなあ。
今の仕事だと、定年までこういう生活が続きそうです。


ざっくりした計算ですが、今までの人生の3分の1ぐらいはこういう何かに追われた食事時間か、食べられずに終わったという時間だったように思います。
なんだか人生を無駄にしてしまったような残念な気持ちが、最近、ふつふつと沸き上がってくるのです。








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