私がブログを始めようとしたきっかけは、こちらに書いたように医師のいない場での出産の危険性を考えていくことと、水の中からのごあいさつに書いたように、私たちはまだまだ新生児について知らないことが多いのではないかというあたりでした。
そして最初の記事は、「カンガルーケアを考える」から始まりました。
2012年1月18日です。
わずか4年ほど前のことですが、当時は直感的に「生まれた直後の新生児を母親の胸の上に腹這いにさせる」ことは危険だと感じていました。
きっと、ヒヤリとした事例がたくさんあるに違いないと。
ですから私自身は、たとえ世の中が好意的にそれを受け入れてもしたくないと思っていました。
ところがそういう報告を知る機会もなく、母乳育児推進のムードとともに肯定的に広がっていました。
それまでの「正常なお産は助産師だけで大丈夫」「ほとんどの赤ちゃんは母乳だけで大丈夫」に似た、潜在的な危険性や実際に起きた事故という失敗に学ばない信念ににたものを、このカンガルーケアの広がりにも感じたのでした。
それまでNICUで安定した早産児に対して行われていたカンガルーケアと混同されることへの批判があったからか、周産期関係者の中では「早期母子接触」という呼び名に変えようとしました。
ところが一旦、世の中に広がった言葉とそのイメージはなかなか変わるものではなく、当時よりもさらに、妊婦さんたちの間ではカンガルーケアという呼び名で「出産後にしてみたい」ことになっている印象です。
事故のニュースを知っていても、やってみたいというお母さんがあとを絶ちません。
そして産科スタッフが目の前でヒヤリとしたことを体験しても、「やってあげるべきもの」という思い込みから逃れられないようです。
まだまだ考え続けなければいけない記事のようです。
まとめをつくるにあたって、今までは通し番号だけだった記事にサブタイトルをつけました。また、「カンガルーケア裁判について思うこと」も連続記事としてまとめることにしました。
「『早期母子接触』って何ですか?」の記事のまとめも合わせてこちらにまとめます。
ところどころ、リンク切れがありますがそのままアドレスを残したものと、読みやすさを優先してリンク先を削除したものがあります。ご了承ください。
「カンガルーケアを考える」
1. カンガルーケアについての注意
2. 安全性に関する調査報告書
3. カンガルーケアの定義
4. ガイドラインの家族への説明
5. 「正期産児に対するカンガルーケアの進化論的視点」?
6. カンガルーケアの育児効果?
7. カンガルーケアを薦める医師の意見
8. カンガルーケアの具体的な安全策?
9. 科学的なものと科学的でないもの
10. 科学的なものと科学的でないもの、続き
11. 自分のクリニックで今後どうするか
12. カンガルーケア裁判について思うこと
13. 鵺(ぬえ)のような雰囲気にあらがう難しさ
14. 誰がそれを望んでいるのだろう?
15. こんさんのコメントをまとめていきます
16. つじつまの合わない話
17. 効果とリスクの矛盾した話
「『母子早期接触』ってなんですか?」
1. 母子の当然の権利?
2. 裸でなければだめですか?
3. 蘇生術が必要なケアって何ですか?
4. 危険性には慎重な対応を
5. 「早期母子接触」と「早期の母子接触」
6. アメリカの帝切後の早期母子接触のお値段」