世界はひろいな 36 <自分のことは自分でする>

液状乳児用ミルクと「男性の暮らし方・意識の改革に関する専門調査会」という唐突な組み合わせに驚いて、検索してみました。
そのちょっと気恥ずかしくなるような専門委員会の名前を。



2016年10月28日に第一回目の会議が開かれていて、議事録が公開されていました。


「ライフプランニング・キャリアプランニングの視点から見た、男性が能動的に家事・育児に産科する社会を作るにあたっての課題と解決策の方法について」という部分で、こんなことが書かれています。

男性の家事・育児参加が進まない主な理由は、一つは社会通念・意識上の課題。男性が家族を養い女性が家庭を守るという強固な社会的固定観念、育休取得や時短勤務によるキャリア上の機会損失概念などがある。

30年前に私が日本を飛び出したのは、海外医療協力とか社会問題への関心から正義感に押された行動でもあったけれど、本当は日本の社会のそんな雰囲気が息苦しかったこともあると思います。



実際に「身の回りのことをしてくれる人が欲しい」がプロポーズになるわけですし、同僚も3年ぐらいで皆仕事を辞めて結婚することが当たり前と感じているようでした。


<自分のことは自分でする>


思い切って日本を飛び出して良かったと思ったことは、広い世界には「自分のことは自分でする」という男性も女性もたくさんいることを知ることができたことでした。


難民キャンプに短期間インターンとして来ていたアメリカの大学生とルームシェアーをしていましたが、皆、当たり前のように身の回りのことを自分でしていましたし、他の人にしてもらうことを期待する素振りもありませんでした。


時々男子学生ともルームシェアをしましたが、私が日本人的な考え方で「女性が料理して片付ける」ことをしようとすると、「Why?」と驚かれてしまいました。
「今日は僕が作るよ」「今日は僕が洗うよ」と、自然と家事の分担が決まるのです。


料理は日本の食事のように何種類も凝ったメニューではなく、野菜炒めとかパスタとかいつも一品でしたが、本当に楽しい食事でした。


それから数年たって、バナナプランテーションで働く人の家に居候させてもらったり、少数民族や漁師の人たちの家に泊まらせてもらうようになりました。



マッチョな外見とは裏腹に、早朝にプランテーションへ働きに行く前に、自分でご飯を炊いてお弁当を作って出勤していました。重労働から戻ってくると、作業衣を自分で洗濯をしていました。
パートナーの女性は、その地域の女性支援のための民間団体(NGO)で忙しくしていましたから、それぞれがそれぞれのことを自然と分担していたのだと思います。


漁師や少数民族の人たちの村を訪ねると、男性がさっと火をおこして、魚や鳥を炭火で焼いてもてなしてくれます。
その当たり前のように身についている生活の技術に、惚れ惚れしたのでした。


「ああ、日本に帰ったらこんな男性はいないだろうな」
そんな絶望的な気分で帰国したのですが、料理をしたり片付けをしたり当たり前にする、私と同世代以上の男性が日本にもいることがわかりました。


そう、私自身の物の見方が変わったことで、見えて来たのだと思います。



さて、冒頭の会議の資料にこんなことが。

ムーブでは、働く女性対象、ママ・パパ向け。父子講座など様々な講座などを実施しているが、男性対象のエプロン男子、おとこのライフシリーズ(洗濯男子、俺メシ当地グルメ等)、おとこの魅力アップシリーズ(片付け男子等)のほか、介護を学ぶケアメン講座などを実施し、よい反響を得ている。


あ〜あ。こんなことで得意になる男性が周囲に増えたら、また日本を脱出したくなりそうです。




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