つまみ菜

10月に入ると各地の水害の影響だったのか、野菜の値段が上がりました。
レタスやキャベツ、そしてちょうど「食べたい!」と思い始めていた白菜も高くなりました。


いつも使っているスーパーでは、それまでは白菜は2分の1、4分の1に切り分けられて売られていましたが、とうとう8分の1のサイズまで登場しました。
これだけ小分けにしてもらえると、多少値段が上がっても少量でも買えるので助かりました。


10月に最も購入した野菜は、つまみ菜でした。
1袋、消費税込みで108円と安定の安さですが、火を通すとシュンと縮んでしまうので得をしたのか損をしたのかという気持ちになりますが、鮮やかな緑が白菜などの量の少なさを補ってくれました。


子どもの頃には、八百屋さんの店先にザルに盛られて売られていたのを見たような記憶があります。
たしか「まびき菜」と呼ばれていたように思うのですが、最近、再び店頭でよくみかけるようになりました。


「東京の食材『つまみ菜』」を読むと、大根、しろ菜、かぶ、小松菜、水菜などいろいろな野菜の種類のつまみ菜があるようです。


初めてビニール袋に入ったつまみ菜を購入した時には、工場のようなところで水耕栽培されたものかと思ったのですが、開けてみたら土がついていたので畑で間引いたものだとわかりました。
どこかの農家の方が畑にかがんで摘んだ物なのだと、その重労働と流通までのコストを考えると108円では安すぎるのではないかと、申し訳なく思いました。


いつの間にか、年中、野菜をふんだんに食べられることに慣れてしまった生活ですが、子どもの頃は今頃から春先までは野菜の少ない時期でした。
そんな時期の「青い野菜のごちそう」は、毎引き大根だったり、大根やニンジンの葉だった記憶があります。


大根やニンジンを買うと必ず葉がついてきたので、それを炊き込み御飯にしたり、油で炒めてしょう油できんぴらにしたものだけでも立派な一品でした。
また小さな間引き大根を、油揚げと一緒に煮たものは十分に主菜になりました。


いつのまにか贅沢な食生活になってしまったなあと思いつつも、ただ質素な生活に戻るのではなく、こうした野菜類も農家の方々の安定した現金収入につながるような購入方法はないかと、つまみ菜を見るたびに思っていますが、一人の頭ではなんともしがたく。



つまみ菜は、子どもの頃に食べた間引き大根などを懐かしく思い起こさせる味で、しばらくはまりそうです。