観察する 18 <水族園に図書館が併設されるといいな>

葛西臨海水族園のペンギンの展示は、子どもよりもむしろ大人を引き寄せるのか、いつも歓声でにぎわっています。


幅広い年代の大人が、まるで子どものようになって、「何であんな動きをするの?」「あれは何で」と次々に疑問が出てくるようです。


私は泳ぎ方に一番興味があるので、その日も抵抗のない泳ぎのための体の動きだけに気を取られていました。
その時に、私より少し上の年代の女性が、「あのペンギンはおかしいわよ。体のどこかが悪いのよ。痙攣しているみたい」と気づきました。
たしかに、1羽だけ半身を痙攣させているような、今まで見たことがない動きをしています。
飼育員さんに言ったほうがよいかと逡巡しているうちに、何ごともなかったかのようにそうした動きをするペンギンがいなくなりました。



何十羽が動き回っている中で、あの女性はよくあのペンギンの動きに気づいたなあと思うとともに、ペンギンの展示の前でいろいろな疑問が飛び交っているのを聞くと、多様な見方や感じ方があることが面白いと思います。


ペンギンだけでなく、様々な魚や海鳥、海藻などを見ていると、その生活史に興味がたくさん沸いてきます。
展示にはわかりやすい説明や映像などもあるのですが、その生き物のさわりの部分という内容です。
私の疑問は専門知識未満、でもど素人の小さな疑問以上のレベルなのではないかと思うですが、飼育員さんをつかまえて聞くのも憚られて、そのまま帰路についています。



そこでひらめきました。
水族園に図書館を併設してくれたら、と。


ボタニカルアートの展示会が開かれていた日比谷公園の緑と水の市民カレッジには公園に関する資料室がありましたし、東京都水道歴史館にも水道に関する小さな図書館がありました。


水族園にもさまざまな資料が自由に読める図書館があったら、観察して疑問に思ったことをすぐに調べられますね。
本や資料から、また知らなかった世界が広がっていく。
地道な研究や調査に携わっている方々の知識や智恵にも触れることができる。


そんな水族園ができたらうれしいな。




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