10年ひとむかし 18 <軽くて暖かい>

あちこちで水仙が咲いて、明るい陽光に春が少しずつ近づいていることを感じますが、寒いですね。


昔はもっと寒かったし暖房器具も少なかったのに、どうやってこの寒さを乗り切って来たのだろうと思います。


1960年代の子どもの頃の記憶をたどると、冬の防寒着や寝具はとにかくかさ張って重いという記憶しかありません。
掛け布団もずっしりと綿が詰められたもので、ウールの毛布を2枚ぐらい重ねていました。
本当に骨が折れそうな重みでしたが、むしろその重さが「暖かい」と感じさせるプラセボ効果だったのかもしれません。


冬の服は、重ね着をして毛糸で編んだセーターを着て、最後にウール素材のコートでしたから、これもまた着ぶくれして重かったことでしょう。


1980年代に入って、スキーの流行とともに、ダウンジャケットが広がりました。
初めて着たときに、その軽さと暖かさに感動しました。
当時のダウンジャケットはまだモコモコに着ぶくれして見えるので、最近のさらに軽量化されてスリムに見えるダウンジャケットに比べると「ダサイ」かもしれませんが、最初に買ったダウンジャケットは色が気に入っていて数年前までたまに着ていました。


1980年代に羽布団を初めて購入した時も、その軽さと暖かさに驚きました。
それまで背骨が痛くなるほどの重みだった冬の寝具から解放されたのでした。
現在、私の羽布団も2代目になったのですがさらに軽くなりました。


<驚きのもふもふ素材>


90年代半ばだったでしょうか、「敷毛布」という言葉とともにもふもふのシーツが出回り始めたのは。
しかも、価格も2000円前後と安いものでした。


最初は「化学繊維だし、安いものではないか」と買うのをためらっていたのですが、使ってみると暖かくてもふもふ感が心地よいものでした。最近では、気温が下がり始めると喜々として敷き毛布に変えています。


軽いだけでなく、洗っても丈夫ですしすぐに乾きます。
それまでの「冬物はなかなか洗濯できない」常識も覆ったのでした。


同じ頃に購入したのが、綿毛布でした。
敷き毛布に比べてこちらは少々値が張ったのですが、肌触りの良さと「自宅で洗える」メリットに気持ちが動いたのです。
以前は、冬の毛布はどう管理していたのか思い出せないのですが、クリーニングに出すのは高いので、季節が終わると日に干してそのまましまっていたのではないかと思います。


西川産業毛布の知識にその綿毛布のことが書かれていました。

綿とは思えないほどのしなやかな感触と優雅な光沢、そしてふっくらとしたあたたかさ。東京西川の開発によって1985年に誕生したシール織り綿毛布は、これまでの綿の概念、毛布の概念をすっかり変えるものでした。薄くて軽く、羽ふとんと組み合わせて使うのにぴったりで、何より家庭で気軽に洗えることが最大のメリット。いろいろな要素が現代の生活にマッチし、ますます人気が高まっています。


まさに!
2000年代に入る頃は、もふもふの敷き毛布と軽くて柔らかい綿毛布、そしてより軽くなった羽布団で、冬の重い寝具類から解放されたのでした。
ただ、そこを読むとウールにはウールのメリットがまだあるようです。


<まだまだ進化する冬の寝具>


フリースが身近な素材になったのがいつ頃からかあまりはっきり記憶にないのですが、フリース素材の衣服が出回り始めても、「さすがに安い化繊の服は」とちょっと否定的でした。


最初に使ったのは、出生直後の新生児の保温用に取り入れた時でした。


それまでは、普通の綿のバスタオルにくるんで、体温が下がりそうな児には生後1日まで湯たんぽを入れて保温をしていましたが、季節によっては生後2〜3時間頃から36度台前半に下がってしまう赤ちゃんがたくさんいました。
そこで、生後1日までの新生児は全員フリースのおくるみにしてみたところ、体温が安定して湯たんぽの出番も激減したのでした。
(ただし、個人的体験談であって検証されたわけではありません)


フリースの保温性が高そうなので、冬の部屋着に取り入れてみました。
いやあ、本当に暖かいし軽いのですね。
そして、羊毛と違って肌にチクチクした感じがなくて、まるで自分が猫になったかのようなもふもふ感が心地よくて、冬の寝具類だけでなく部屋着も大きく変化したのでした。


そして、昨年、1枚2000円ほどのフリースの毛布が雑貨屋さんにあったので、物は試しで買ってみました。
暖かい!!!
それ以来、真冬は綿毛布ではなくフリースの毛布にして、さらに軽くて暖かい快適な睡眠環境になりました。


思いっきり個人的体験談ですが、あの骨が折れそうなほどの重みだった冬の寝具から解放されていった変遷を思い返したのでした。




「10年ひとむかし」まとめはこちら