乳児用ミルクのあれこれ 42 <個人的体験談ではなく標準化された調乳・授乳の啓蒙を>

栄養士さんや管理栄養士さんが、調乳に関してどのような関わり方があるのか現状がよくわからないのですが、検索していたら、乳業会社の派遣だけでなく、個人事業として調乳指導をされている方もいらっしゃるようです。


その「街の管理栄養士ひはらみほ」さんのブログでは、「『調乳(ミルク作り)』について保育士・ベビーシッターさんに講義」されていることが書かれていました。
ベビーシッターさんはともかく、保育士さんにも調乳指導のニーズがあるのかと読んでみて、びっくりしました。

*缶の中にスプーンを入れっぱなし
*冷やすのが面倒で70℃以下のお湯で調乳している
*調乳前後の衛生管理
*調理器具の衛生管理
*ミルクをあらかじめ作っておいて常温放置で適温にしている

などなど、実は「危険行為だと知らない」事すら気づかずに調理を行っているシッターさんや保育士が多く・・・。


ガイドライン全36ページを読んでと言っても無理なので、判りやすく、実用的に説明しながら「なぜなのか」「何が問題なのか」を説明します。
家庭でも衛生・安全管理は必要ですが、専門職としてお子様をお預かりしているからには、正しい知識を持って安全・衛生的に調乳をしてほしいものです。

いやいや、保育士さんだけでなく産科施設でも手を洗わないとか、スプーンを入れっぱなしは常態化しているのではないかと思います。
おそらく、「今まで何もおきなかったはず」「自分の子どもにもこうして調乳していた」といった根拠のない自信と個人的体験談なのだと思います。


また調乳ガイドラインの存在は知っていても、私自身は液状乳児用ミルクの必要性を調べていて初めて全文を読んだ次第です。
なかなか現場には、こうしたアップデートされた知識が広がらないのが現実ですね。


さて、もっと驚きの調乳方法が書かれていました。

粉ミルクを入れた哺乳瓶に水道水を入れて、電子レンジでチンしているベビーシッターさんが平然と
「私、こうやっていますけど?早いし、直接触れないので衛生的だから調乳方法として教えています」と言ってのけて顔が「おーいハニ丸」になりました。

いやはや、「衛生的」の概念も個人レベルではほんと勝手な解釈になりますからね。


途上国だけでなく、日本でも「衛生的に適切にミルクを作り飲ませる」ことができているのか、新たにわかった知識は何かなど知識と技術の標準化を図り、専門の栄養士さんが啓蒙していけるようなシステムが是非、欲しいものです。


そして1970年代から続く、新生児や乳児に適切な授乳方法を考えることよりも、粉ミルクや乳業会社を批判して母乳育児というイデオロギーにしてしまった時代を終わりにしたいものです。


もう少し続きます。



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「汚れたミルク」という映画を観て考えたことを書いた記事のまとめはこちら