観察する 26 <グルクマの食事>

葛西臨海水族園に入ってまず最初の大きな水槽には、シュモクザメやエイ、アジやイワシが泳いでいます。


その水槽をながめているだけで、何時間でも過ごせそうなぐらい興味深いのですが、その水槽の前で人間を観察していると、まずはシュモクザメの姿に目を奪われるようです。
私は以前から椎名誠氏の本で知っていたのですが、やはり初めてその実物を前にした時には、周囲のエイやアジ、イワシの存在が薄れるほど見入ってしまいました。


そして、次に目に入るのが、大きく口を開けたアジの姿のようです。
私も初めて見たときにはとても驚きました。
東京ズーネット」の2015年10月30日のニュース「大きな口で食べているえさは?グルクマの食事」にその説明がありました。
(この題名で検索すると見つかると思います)


この水槽では、アカシュモクザメ、ツマグロ、ウシバナトビエイ用のえさとして、大きめに切ったアジやイカ、丸ごとのアマエビなどを与えていますが、水面近くを泳いでいるグルクマは真っ先にそれらのえさに群がり、パクパクと"食べ"始めます。大きなえさを口に入れたグルクマをしばらく観察していると、口をもごもごさせてなかなか飲み込みません。吐き出してはまたすぐ口に要れてを繰り返したり、他のグルクマと取り合いになったりしているうちに、サメの取られてしまうことがほとんどのようです。

一方、水面近くで大きく口を開けたまま泳いでいるグルクマがいます。これはえさを食べるときに見られる行動ですが、泳ぐ先にえさは見あたりません。じつはサメがアジやアマエビなどを食べるとき、細かくなったえさの破片が少なからず生じ、水中をただよいます。グルクマはそれを食べようと、ひときわ口を大きく開けて泳ぎ、えらにある「鰓耙」(さいは)と呼ばれるくし状の構造を使ってこしとっているのです。小さなえさが鰓耙にたまると口を閉じて飲み込みます。この食べ方は、同じ水槽にいるマイワシなど、小さなプランクトンを食べる魚で見られます。

まるで顎が外れたかのような大きな口で泳ぎ回っている魚の姿は珍しく、ほとんどの人が「何が起きているのか」といった反応のようです。
私たちの思い描く「魚」の姿は、結構、固定観念のようなものしか思い浮かばず、その意表をつくのがこのグルクマの姿なのかもしれません。



どれだけの時間をかけて、このグルクマの濾過摂食が観察されて来たのか考えると、ちょっと気が遠くなりそうです。
その生活史がわからなければ、大きな水槽に何種類もの生物を同時に管理することもできないですしね。



ところで、グルクマの説明を読むと、なんと「スズキ目・サバ科」と書かれています。
アジだとずっと思い込んでいました。いやはや。




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