下水道についてのあれこれ 6 <下水道管構築事業>

虹の下水道館の展示に、マンホールについての説明がありました。
マンホールには「おすい」と「うすい」があることと、ところどころ「合流」する箇所がわかるようになっていることです。
「あ、たしかタモリ倶楽部で見たことがある」と思い出しました。


帰り道は、ただただ下を向いて歩き、マンホールの蓋に何と書いてあるかをたどったのでした。
変な人に思われたかもしれませんね。


「虹の下水道館」では、下水道の補強についての展示もありました。
帰宅してから検索してみると「下水道事業に対する補助精度の創設及び拡充」という資料がありました。
下水道管の寿命は50年ほどだそうで、老朽化を防がなければさまざまな支障が起こることが書かれています。
何年に作成された資料かわからなかったのですが、内容から2007年以降のに東京都下水道局国土交通省に提出した資料のようです。


とりわけ都中心部の1950年代から70年代に作られた下水道管の老朽化によって、道路陥没の被害が増加していることや、ゲリラ豪雨などによってそれまで下水への流入の5割程度であった雨水の割合が8割まで増加していることが書かれています。
年間1,000件もの「下水道施設が原因の道路陥没」が起きているのですね。


「法定耐用年数を越えた管きょは区部全体で約2,000km、全体に占める割合では13%となっているが、今後、高度経済成長期以降に整備した管きょも法定耐用年数を迎え、この延長と割合は急増する」
気が遠くなる距離の下水道を、どのように修理していいくのでしょうか。


<SPR工法>


こじんまりとした「虹の下水道館」ですが、下水道管の実物大の展示があり、「SPR工法」の説明がありました。
硬質塩化ビニール製プロファイルという材質のチューブのようなものを、現在の下水道館の中に入れてすき間無く内側を覆っていく方法のようです。
「アマノ企業株式会社」のHPの施行の流れに、わかりやすい絵がありました。


この方法であれば、現在の下水道管をそのまま利用でき、また下水の流れを止めることなく作業が続けられるようです。



水道管の入れ替え工事は時々目にするのですが、下水道管の修理はあまり気づきませんでした。
今度そばを通ることがあったら、ちょっとあやしい人に思われると思いますが、邪魔にならないように気をつけて是非見てみようと思います。


<東京都の下水道事業の重点政策>



冒頭の資料と同じ頃と思われる2009年に、「日本管路更生工法品質保全協会」の「管路更生」という雑誌に掲載されている「東京都における下水道管きょの老朽化対策」が公開されていました。


「老朽化施設の再構築や浸水対策、合流式下水道の改善、高度処理、地球温暖化対策」などの施策が「経営計画2007」で計画され、現在のさまざまな事業がそれに基づいているようです。


その資料の3〜4ページにかけて、「下水道管きょの再構築 芝浦など4処理区1万6300haが対象 47幹線を調査、16幹線を先行整備」とありますが、SPR工法について書かれていました。

再構築事業では当初、基本的に開削工法が採用されていましたが、道路交通量や地下埋設物が多い東京の特性もありますし、道路を掘削すると近隣の住民の方にも迷惑がかかります。そこで、どうしても掘削しなければならないところ以外は内面被覆工法でいこうということになりました。非開削の更生工法は、コスト削減ができる、工期が短くて済む、建設発生土が削減できて環境に優しいなどのメリットがあり、再構築事業に欠かせない技術となっています。今後本格化する幹線再構築事業においては、年間約10kmを更生工法で施行していきます。


幹線の下水道管だと、時間も必要なのですね。



都内の下水道普及率がようやく100%になったのが平成に入ってからのようですが、昭和初期から作られた下水道施設を維持し、都の安全と生活を守るということは本当に大変なことだと、下水道管の展示の前で改めて思ったのでした。



<おまけ>


上記の資料を読んで、マンホールの日本語が「人孔」ということを初めて知りました。





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