散歩をする 31 <青山上水>

東京都公園協会広報」のtweetを眺めていたら、青山公園の「南地区パレット花壇の中にある、サギナ(アイリッシュモス)に白い小花が咲きました!」(7月14日)とありました。


アイルランドの花なのかなと俄然関心が沸き、早速、地図で青山公園の場所を確認しました。
乃木坂駅を降りてすぐのところにあるようです。
乃木坂駅は時々地下鉄で通過しているのですが、一度も降りたことがなく、地上がどうなっているのか全く知らない場所です。


よし、今日の散歩はここからスタートしてみようと決まりました。


地図を見て、すぐに散歩コースが決まりました。
「東京地形散歩」で気になっていた青山上水を歩いてみようと思い立ちました。


こちらの記事に書いたように、四谷新宿交差点から信濃町方面にかけて玉川上水が分岐して、青山上水になっていたようです。
現在は、その痕跡はほとんどないようですが、どんな地形だったのか自分の目と足で確かめたくなりました。


<青山公園と乃木坂駅周辺>


乃木坂駅を降りて地上に出ると、日本学術会議の建物があります。
「ああ、これがあの学術会議」といろいろな回想にふけりながら目の前の横断歩道を渡ると、すぐに青山墓地と青山公園があります。


青山墓地は有名な墓地ですが、私には縁がなかったので今回初めて見たのですが、地図では平らな墓地をイメージしていたので驚きました。
2〜3mの高低差がありそうな凹凸のある場所でした。お墓参りもちょっと大変そうです。


その目の前にある青山公園も、グラウンド以外はちょっとした丘陵地帯という感じです。
アイリッシュモスを探して、その小高い場所まで登ってみてびっくり。
そこにはいきなり米軍施設の立ち入り禁止区域が隣接しています。
Wikipedia青山公園に書かれている、在日米軍赤坂プレスセンターのヘリポートのようです。


わあ、うろうろしていたら不審者になりそうと、ちょっと緊張しました。残念ながらアイリッシュモスは見つからず、そうそうに後にしたのでした。


青山公園から乃木坂陸橋方面に出るのに、地図では歩道があるのかよくわかりません。千代田線の真上を大きな幹線道路が通っているのですが、歩行者はその脇に設けられた別の歩道を使うようになっていました。


こういうことも実際に歩いてみないとわからないものですね。


乃木坂陸橋のすぐのところに、乃木公園がありました。入り口に立派なレンガ作りの建物が見えたので、惹きつけられるように中に入ってみたところ、なんと厩(うまや)でした。乃木将軍の邸宅のほうがむしろ質素なつくりです。
そして道路からはわからなかったのですが、中に入るとかなりの傾斜地でした。


一旦廃止された青山上水が明治時代に入って麻布水道として復活したようですが、尾根伝いに水道が作られ、そして水道沿いには力を持った人たちが住んだのかもしれないと思いながら、先を急ぎました。


外苑東通りを通って信濃町まで>


青山上水は、現在の外苑東通りの一部区間と重なり合っています。


乃木公園を出てから道なりに歩くと、山王病院の前を通って青山1丁目駅の前に出ます。
「東京地形散歩」を見ると、青山上水はここで現在の赤坂御所の交差点に沿って、直角に曲がりながら権田原まで現在の外苑東通りの場所を通っていたようです。
その本では、赤坂御所が終わる権田原の交差点から、一旦、外苑東通りを外れて、ゆるやかなカーブを描いて外苑神宮内を通っているのが不思議だったのですが、実際に歩いてみてその理由がなんとなくわかりました。


権田原の交差点からは、外苑東通りの方が微妙に低い位置にあるのです。
尾根は神宮外苑側にあったので、青山上水もその地形に合わせてこのあたりで曲がっていたのでしょう。


そして、赤坂御所や迎賓館がこの地に建設されたのも、青山上水から作られた麻布上水があったからこそなのだとつながりました。


信濃町から四谷四丁目まで>


信濃町駅あたりで再び、青山上水外苑東通りに沿っているのですが、そのまままっすぐ行けば四谷三丁目交差点で玉川上水から半蔵門まで延長された水道につながりそうなところ、半分ぐらいの地点で西へ曲がり、外苑西通り沿いに四谷四丁目の玉川上水につながります。


しかも、その途中の大京町12丁目から13丁目あたりで、鍵型に曲がっています。


その場所が気になって歩いてみたのですが、地図ではわからない高低差があって、そこが尾根であったらしいことがわかりました。


現在はぎっしりと住宅やビルが立ち並んでいるので、今まで気にもしなかったのですが、玉川上水青山上水へという流れは、水のロスが少なくなるように尾根伝いを選んで作られていたことがよくわかりました。


そしてその上水沿いに重要な施設が建設され、時の権力者が住み街が作られて行ったのですね。
そして上水跡が現在の幹線道路や地下鉄に利用されて、現在の東京の姿があるのだと。


タモリさんが高低差に魅せられている理由が、わかったような気がしました。
ちょっとした高低差から、歴史の断片がつながりあっていく、そんな面白さかもしれません。





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