観察する 37 <パイナップルの生活史>

昨年、「ペンパイナッポーアポッーペン」が何故、日本だけでなく海外にも人気がでたのかとても不思議な気持ちでみていたのですが、「パイナッポーアッポー」で私は30年ほど前から気になっていた「パイナップルとアップルの関係」を思い出したのでした。


東南アジアで私が暮らした地域では、プランテーションだけでなく地場産のパイナップルが市場で手軽に購入できました。


そして、時々、普通の市場にもりんごが売られていることがありました。
日本や北米から輸入されていたようです。
りんご1個、当時の感覚では日本円にすれば1000円とか2000円でしょうか。
「超」高級果物の値段なのですが、現地ではりんごの味が好まれて人気がありました。


日本の果物に比べると、東南アジアの果物というのはジャックフルーツ釈迦頭のように独特の風味や強い甘さが多い中で、りんごはどちらかというとちょっとパンチのない味に感じるのではないかと思います。
しいていえば、グアバに似ているかもしれません。
あっさりした味がむしろ好まれるのでしょうか。


その対称的な味の果物なのに、英語名だとなぜ「アップル」が使われているのだろうと気になりながらもそのままできてしまったことを、冒頭の音楽で思い出したのでした。


Wikipediaパイナップルに、以下のように書かれていて長年の疑問が解決しました。

「パイナップル」(pineapple)という名前は、本来松(pine)の果実(apple)、すなわち「松かさ」(松ぼっくり)を指すものであったが、これが18世紀ごろに似た外見を持つ本種の果実に転用され今に至る。(英語の"apple"という語は、かつては「リンゴ以外をも含む果実一般」を指すものとしても用いられていた。)


な〜るほど!



<パイナップルのトリビアあれこれ>


パイナップルが身近な果物になった現代ですが、最近、パイナップルについて「へえー」と初めて知ることがありました。


先日、神代植物公園の大温室に行った時、パイナップルが食虫植物である説明が書かれていて驚きました。
「パイナップル科」の「生態」にはたしかにこう書かれていました。

葉から水分を吸収して乾燥に耐えるように進化した種が多く、やや多肉化したものもある。葉は萼(がく)・花弁が各三枚、おしべが6本あり、根元に苞がある。長い茎の先に花序(総状・穂状または頭状)をつける。
多くが木に着生して生活しており、葉の根元が重なり合って雨水を貯めることができる。ブロッキア属の2種とカトブシス属の1種は、そこに落ちた虫を栄養源とする食虫植物である


果実用に栽培されているものは、また種類が違うのかもしれませんが、確かに葉と葉の間に水が貯まるようになっています。
水草と同じく、水が腐敗の原因になることなく、むしろ水を活用しているのですね。


もうひとつ、「へえー、知らなかった」ことがありました。
NHKの「サラメシ」で、石垣島のパイナップル農家のお昼ご飯を放送していたのですが、パイナップルの収穫の際に、パイナップルの上部の葉をそのまま畑に「投げ捨て」ているわけではなく、葉の下の部分から根が出て次に植え付けに利用すると話していたことです。
たしかにWikipediaの「パイナップル」の「形態」にも、そういう方法があることが書かれています。
そして、収穫には3年もかかることを初めて知りました。


バナナがどう育つのか知らなかったように、身近にある食べ物の生活史でさえ、知っていることはごくごく表面的ですね。




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