イメージのあれこれ 5 <イベントという現代の魔術>

今日は、準備体操のような、それでいて社会運動のような、よくわからないラジオ体操の話です。


今もまだ、14時55分になると都庁ではラジオ体操をしているのでしょうか。
「今もまだ」といっても、今年の7月24日に始まったばかりのプロジェクトらしいのですが。


知事ら80人がラジオ体操で汗、都庁でプロジェクト開始
2017年7月25日、東京新聞


 2020年東京五輪の開幕まで3年となった24日、ラジオ体操を通じて大会への機運を盛り上げる都の「みんなでラジオ体操プロジェクト」が始まり、小池百合子知事が「スポーツに親しむ生活が大会のレガシー(遺産)になるよう汗を流したい」と訴えた。


 都庁であったイベントでは、運動靴にシャツ姿の小池知事がおなじみの音楽に合わせて、都内の区市町村職員や企業の社員ら計約80人と体を動かした。同日午後2時55分からは都庁て仕事中の都職員もラジオ体操で3分ほど体をほぐした。職員の1人は「ちょうど眠くなる時間帯で、体操で体を伸ばしてリフレッシュできた」と話した。


 都庁内でパラリンピックの閉会式に当たる9月6日まで、平日の同時間にラジオ体操を行うとともに、都内の企業や区市町村にも取り組みを促す。プロジェクトは20年まで毎年実施していくという。

都庁みんなでラジオ体操 東京五輪「期間中」職員が一斉に汗
2017年7月26日、産經新聞


 2020年東京五輪パラリンピック開幕まで3年を切る中、都では大会の機運醸成や都民の健康増進を目的とした「みんなでラジオ体操プロジェクト」をスタートさせている。小池百合子知事も「音楽を流せば勝手に体が動いてしまうというぐらい、日本人のDNAに刻み込まれている。都民、国民が1つになれる」と期待を込める。


 プロジェクトは2020年大会の開催期間と同じ、7月24日から9月6日までを機運を高める重点期間と位置づけ、大会まで毎年、平日午後2時55分から都庁職員が一斉に体操を行う。都は、今後同様の取り組みを全国に呼びかける。


 初日となった24日には都庁でキックオフイベントを開催、小池氏は同イベントで「スポーツに親しむ生活が2020年のレガシーとなるように、今日から皆で汗を流していきたい」とあいさつした。イベントには小池氏をはじめ、都のスポーツ振興大使キャラクター「ゆりーと」も参加。「イチ、二、サン、シ」と声を出しながら笑顔で体を動かした。

なんだか読むのも気恥ずかしくなる陳腐さを感じるのは、何故なのでしょうか。


こちらの記事の最後に、「現代というのはイメージという魔術にかかって実像と虚像が反転した世界のように見えてしまうのです」と書きましたが、そのひとつに、こうしたイベントで全体を盛り上げることで、なにかをしているような気持ちになるイメージ作戦もあるかもしれません。


それぞれの生活や仕事のペースも違うし、どの部分をどのように動かしたらその人にとって有意義な運動になるかもひとりひとり違うことでしょう。
個別性を無視して、同じ時間に皆が同じ体操をして同じ方向を目指すことがよいとする考え方は、どうも「かつてそんな時代の雰囲気があったのだろうな」という気持ちにさせるので、私には古くさく感じるのです。


なにかしたような気分になる魔術にはかかりたくないですね。




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