散歩をする 39 <歩く人のための道案内>

先日、高速道路のナンバリングについてのニュースがありました。


日本に初めて高速道路が開通した頃は、東名・名神高速道路ぐらいだったのですが、今やあちこちに高速道路があって、車とは無縁の私にはどこに何という高速道路が通っているのか浦島太郎の世界になってしまいました。


鉄道も相互乗り入れなど路線図が複雑になったので、首都圏の駅ナンバリングが始まったのが2004年だったようですが、だいぶ路線図が見やすくなりました。
高速道路もナンバリングがあれば、外国から来た人だけでなく日本でも助かる人は多いのではないかと思ったニュースでした。


<何を確認して歩いているか>


高速道路や鉄道の路線に比べて、さらに街中の一般道は複雑です。
実際に歩いてみると車道はあっても人は歩けなかったりと、歩く人の視点でつくられた地図が増えたらいいなと思っています。


「今日はここからここまで歩いてみよう」と大まかな目的地が決まると、私は未だに紙に簡単な地図を書いて出かけています。
いまや道に迷ってもGPSで確認できるにもかかわらず、です。


とてもアナログな方法なのですが、目的地までの交差点名を書き出し、道しるべになるような建物などを紙に書いてみると、だいたい記憶できるからです。


ところがそれでも、実際に歩くと迷うことがあります。
一番やっかいなのが、「今、自分はどこにいるのか」「目の前の道は何という道路なのか」ということがわかりにくいことです。


たとえば「明治通り」とか「山手通り」といった大きな道なら勘でわかりますが、もう少しマイナーな「○○通り」といった道路名が見当たらないのです。
あるいは、車を運転している人には、あらかじめ交差点の前でその名称を確認できるような表示があるのに、歩いている人にはわかりにくいこともあります。


思い出したのが、東南アジアで暮らした国の表示方法でした。
どんなに小さな裏通りのような道にも、「○○st.」と通り名(street名)の表示がありました。
初めて訪れる場所でも、「○○st.」と言えばだいたいわかるのが便利でした。


ところが日本の場合、歩いて目的地に行く場合には住所しか便りになるものがないのが不便です。


冒頭の「高速道路ナンバリング」のニュースから、ふと、通り名も広がったらいいのになあと思ったのでした。


<「通り名で道案内」>


「高速道路ナンバリング」で検索していたら、国土交通省道路局で「通り名で道案内」という試みが始まっていたことを知りました。


「『通り名で道案内』社会実験を踏まえて」の「はじめに」にこう書かれています。

 我が国の住居表示方法は、道路、鉄道、河川などによって区画された地域につけられるブロック(街区)を基本とする方式(街区方式)が一般的ですが、この方法は、住居表示としての大きな役割を果たしながらも、地域に不慣れな来訪者にとっての目的地の特定のしやすさという点からは必ずしも適していないとの声も聞かれます。


 一方、欧米の住居表示で一般的に行われている「道路方式」は、通りを基本とし、通りの名称及び沿道施設に付けられた番号により場所を表示することから、地域に不慣れな来訪者でも容易に目的地を特定しやすいと考えられます。

 「通り名で道案内」は、このようなことを背景として、通りの名称と概ねの位置を表す番号を使って目的地をうまく特定できるルートを作り、道路上にこれらを表示することにより、観光地や中心市街地等において、わかりやすい道案内を行うことを目的とする取組です。

歩きにくさのひとつと感じていたことが、すでに問題提起されて対応が始まっていたことに、ちょっと感激しました。


ぶらぶらと初めての街を歩いていますが、「○○通り」という表示をみると、わかりやすさもそうなのですが、その通りが印象に残って親しみも感じています。
そして、何も名称がない道だと「よそ者が歩いていいのかな」という緊張感がちょっとあるのですが、「○○通り」とあると小さな路地裏のような道でさえ、「誰でもどうぞ」という開放感を勝手に感じています。




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