散歩をする 56 <五反田川放水路>

2月初旬に小田急線で登戸を通過した時に、多摩川の河川に今まで見たことがなかったものが造られ始めていました。
数年ぐらい前からそのあたりで工事が始まっていた記憶があるのですが、堤防に沿った道路建設だと思っていました。


なんと、水門です。
川に水門が現れる現場を見る機会なんてほとんどないので、完成してしまう前に是非見てみたいと思い、1週間後には登戸へ向いました。


真冬の川の周辺ですから、川風も厳しい季節ですが、その日はちょうど暖かで風もなく、絶好の工事現場見学日和でした。
登戸駅から歩いて数分ぐらいのところに工事現場があり、「五反田川放水路樋門築造工事」という表示がありました。


あと少し、10mか20mぐらいで多摩川につながるあたりを掘削していました。
すでに建設が終わっている真新しい水門の近くに腰掛けて、30分ほど工事を見入ってしまいました。
高さ数m以上の地面を掘って土手を造り、土を底の部分へ運んでならすためにショベルカーが動き続けていました。そのそばのすでに掘削された場所では、20mはあると思われるボーリングの機械が引き上げられているところでした。
「なんでボーリングをしているのですか?」「地質を調べているのですか?」「その機械を使いこなせるまでにどんな知識が必要で、熟練するまでには何年ぐらいかかるのですか?」と、次々と質問したいことが浮かんで来たのですが、ぐっとこらえてその場を後にしました。


こんな建設用の機械がない人海戦術の時代だったらどんな風景だったのだろう、工事でも失敗したり死傷者がでたり、大変だったのだろうなと、わずか数人で機械を動かして粛々と掘削されている工事現場にちょっと感動してしまいました。


<五反田川放水路整備事業>



「五反田川からの放水路」ということなので、その水門の先をたどっていけば五反田川があるのだろうと、反対側を眺めてみましたが川らしきものはなく、散歩だけではその工事の全体像はわかりませんでした。


家に帰ってから検索すると、川崎市の「五反田川放水路整備事業について」という説明がありました。

五反田川流域の概要
五反田川は、麻生区細山地内を源とし、細山調整地を経て小田急線に沿って蛇行しながら流下し、東生田地内で二か領本川に合流する流路延長4.8km、流域面積8.0㎢の都市河川です。
この川には、洪水時には、下流まで約20分で流下する高低差の激しい河川です。
このため、五反田川の下流域及び二ヶ領本川との合流部では、急激な水位上昇により、度重なる水害を繰り返してきました。

五反田川放水路の概要
五反田川放水路は、洪水時には五反田川の洪水全量(150m3/s)を延長2,025mの地下トンネルに流入させ、直接多摩川へ放流させようとするものです。
本放水路は、五反田川と多摩川の水位差を利用して洪水を流下させる自然流下圧力管方式の地下河川です。


「m3」と「㎥」は違う単位なのかと調べたら、同じ単位のようです。もしかしたら、「m3」を使う事でその業種にしかわからない、専門外の人とは微妙なニュアンスの差があるのかもしれませんね、その知識とか技術に対しての。


それにしても、洪水量や河川の水位差が計算されて放水路が造られるのはすごいと数字の苦手な私には理解不能な世界です。


昨年、川崎市ではこの五反田放水路の親子見学会が行われていたそうです。
うらやましいですね。
私も参加してみたかったなあ。


水門が完成する前に、もう一度見てみたと思っていたのですがなかなか時間がとれません。
近くだったら、毎日通って工事の進捗状況を見ていたのですけれど。




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