観察する 45 <不忍池の生活史の定点観測>

春が急にやって来たかのような陽気に誘われて、「上野動物園へ行こう!」と出かけました。
2015年10月に久しぶりに上野動物園へ行って以来、年間パスポートも購入して足繁く通っています。


だいたい滞在時間は1〜2時間といったところですが、毎回いろいろな動物を見ようというつもりだったのが、最近は決まったコースになりつつあります。
さらに、その大半は不忍池のほとりでカワウをながめています。
周囲からは何のために上野動物園まで行っているのかと呆れられますが。


さて、3月に入るとカワウはとても活発です。
その体と比較すると大きくて重い、枯れた蓮の茎や葉を水中からクチバシで掴んで飛び立ち、池の上を旋回してから真ん中にある島の木に運んでいます。
春先と秋に特に活発に行われる営巣活動の時期です。


まるで空港の展望デッキで離発着する飛行機を眺めているかのように、ベンチに座っている私の真上をカワウが飛んで行きます。
先月までは、池の上を時々飛翔するぐらいだったのが、その日は大きく旋回する時に私の真上を飛ぶので、下からカワウの胴体を間近でみることができますし、飛んでいるカワウがこちらを観察している様子もはっきりとわかるのです。


水の中から拾い上げた蓮の茎や葉はとても重そうで、飛び立ってからもしばらくは力強く羽ばたいて体勢を立て直しているようです。
重いのだから早く木に止まればよさそうなものなのに、なぜか池の上を2〜3周、旋回してから着陸するしているように見えました。
もしかして、蓮の水分を飛ばして乾燥させるためでしょうか。
そして池から飛び立つカワウのほとんどが、池に対して反時計回りで旋回しているようです。
衝突を防ぐためのルールがあるかのように。


ああ、おもしろい!
以前は、一日中あるいは年中、野鳥などを定点観測している理由が理解できなかったのですが、今ではカワウの行動を見ているだけでもあっという間に時間が過ぎて行きます。


そして何度もみているうちに、その行動に法則性があることや季節の変化などが少しずつ見えて来て、そう観察したことは正しかったのか確認のためにまた見続けたくなる。
そんなおもしろさです。


来月になると、枯れ草だった蓮もカワウの巣作りの材料の役目を終えて、新芽が出始める頃でしょうか。
今年は、不忍池のカワウと蓮の定点観測をしようと目標ができました。




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